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手放すことで得るもの [日々の暮らし]

指導している大学で私は読書レポートを課題として出しています。
これは毎週1冊、好きな本を読み、そのことについて
30秒間、日本語でスピーチをグループ内でしてもらう
という活動です。ジャンルは何でもOK。マンガ、写真集、
ハウツー本も大歓迎です。大事なのは活字に親しんでもらい、
新たな世界を見るということなのですね。

よって、「すべてを熟読しなくて良いですからね。むしろ
斜め読みすることを自分に許してあげてくださいね」と私は
学生たちに伝えています。世の中には大量の本があるのです。
一字一句読み抜くことに縛られてしまうと、
せっかくある「他の素晴らしい本との出会いのチャンス」を
失ってしまいます。よって、「乱暴な(?)読み方」を
しても良いということを体感してほしいと思っています。

活動の後は、400字以内でその本のレポートを書き、
提出してもらっています。ZOOM授業でブレークアウト・セッションに
して小グループで発表をしているため、私自身は
全ての学生のすべての発言を拾い上げることができません。
よって、改めてレポートという形で提出してもらうと、どの学生も
本当に沢山のことを考え、本を選び、読んでいることがわかります。
一人一人のレポートにコメントを付けて返信する作業は、
私にとって非常にやりがいのあるフィードバックです。

学生たちが選ぶ本を見てみて、やはり時代柄なのか多いと感じるのが、
心理学関係の本です。人間関係の在り方、自分自身の生き方などを
綴った本を読む学生さんたちがいるのですね。
若い方たちは若いなりの悩みがあり、迷いがある。

本を通じて乗り越える力を得てくれたらと思います。

特に今の時代、そしてとりわけ集団を良しとする日本にいると、
どうしても私たちは「周囲の目」を気にしてしまいます。
同調圧力、です。

自分が何かやりたいと思っても、「周囲はどう思うかな?」
「こんなことしたら嫌われるかも」という思いは
恐怖心となってしまい、自分自身が一歩踏み出そうとしている
その足を縛り付けてしまいます。そして迷えば迷うほど、
さらに勇気がなえてしまい、一歩どころか一ミリも進めなくなり、
それと同時に、「ま、しょうがないよね」とあきらめてしまう。

そんな状況が人には多いように私は思うのです。

学生たちが紹介してくれる心理学系の本は、
そんな私たちの思いに応えてくれています。
「自分らしくて良いよ、周りを気にしなくて良いからね」
というメッセージが書かれています。

先日読んだとあるサイトに、

「人からどう思われるか、という思いを手放したとき、
人は本当にほしかったものを手に出来る」

ということが書かれていました。そして今こそが、
「人からどう思われるか?」という呪縛を乗り越えるべきなのだ、と。

イギリスに暮らしていたとき、よく耳にしたのが、

It's up to you(あなた次第よ)

というフレーズでした。

「どう考えるも、どのように行動するのも、あなた次第。」

でも、その自由には責任が伴われます。
そうした「責任」という自分への重圧をも受け入れた上で、
自分らしく生きていこうよ、というのがイギリス人の考え方でした。

Life is short!ですよね。そんな風に私も考えています。
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