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だから紙新聞が好き [日々の暮らし]

通訳の仕事を始めてから一貫して続けていることがあります。
紙の新聞を読むことです。

デビュー当時に暮らしていた実家では、朝日新聞を購読していました。
けれども通訳者の先輩方に伺うと、日経新聞の方がお勧めとのこと。
経済や国際面が充実しており、解説記事も豊富にあるため、
世の中の動きを知る上では通訳者向き、というのが理由でした。
以来、私は日経新聞をとっています。

ロンドンのBBCで勤めていたころも、やはり紙版の日経を
読んでいました。衛星回線を使って日本と同時間で印刷できる
という恵まれた時代でしたね。何分、私が子どもの頃のアムス・ロンドン時代は
新聞が一週間送れで届いていたのですから。

ただ、90年代後半、ロンドンで日経新聞を定期購読することは、
なかなか金銭的に大変でした。
でも仕事には必要ですし、自由に切り抜いて書き込みをして
スクラップをする上のは自分への投資でした。よって
頑張って購読して良かったと思っています。

随分前に「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」という
本がベストセラーになりました。私にとってのはこの書名の
「幼稚園の砂場」を「日経」に置き換えたいくらい、日経に
助けられてきましたね。

日経新聞は電子版も充実しており、近年は紙版・電子版の
購読者数を見てみると、大幅に電子版会員が伸びていることが
わかります。

それでもなお、私が紙版にこだわる理由は、上記の
書き込み・スクラップに加えてさらにあります。それは
「思いがけない記事や広告に出会える喜び」です。

先日、目に入ってきたのはトヨタの全面広告でした。
そのコピーが何とも心に響いたのですね。一部引用します:

「何かをかけがえなく感じることから、
幸せは始まるのかもしれない。

では、どうするか。

困っている人がいたら助ける。
目の前の人を笑顔にする方法を考える。
当たり前のことを丁寧に、
そしてときどき当たり前を超えてみる。
他の人の幸せを、
自分の幸せのように思ってみる。
自分のためではなく、
人のために力を出す。」

この文章を私は通勤途上の朝一番に触れることができ、
とても幸せな思いが溢れてきました。

こうした出会いがある。
だから紙新聞が好き、なのですね。

(日本経済新聞2020年6月27日土曜日朝刊 p6)
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