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予習から得る人生訓 [仕事]

フィギュアスケート関連の通訳業務に関して打診がありました。
結局、その話は見送りとなったのですが、
お話があった時点で私にとっては「予習開始」となります。
そこでいつも通り、リサーチを始めました。

2月3日のブログで書いたように、今回もまずは雑誌から。
たまたま出講先の大学図書館にあった「Number」という
スポーツ雑誌のバックナンバーがフィギュアスケート特集でした。
昨年12月の発行です。2019年のフィギュアの話題が満載です。
読みながらスケート用語を頭に入れるようにしました。

・・・が、そうした予習ももちろん大事なのはわかっているのですが、
やはりインタビュー記事には心惹かれます。

今回心に残ったのは、アメリカのネイサン・チェン選手の
ことばです。

「自分をどのように律していくか、問題が起きたら
どうやって解決方法を見つけていくのかなど、
スケートを通して学んだことは、いずれ人生のほかのことにも使える。」

これは私自身、通訳業務でも感じます。私は通訳現場に
いるときの方が、達観(諦観?)しているからなのか、
多少大変な状況でも冷静に(冷ややかに?)対応したいと
思っています。それなのに、こと家庭内でイレギュラーが
生じると慌ててしまうのですよねえ。ネイサン選手のように
「人生のほかのこと」にも応用せねばと反省しきりです。

ちなみにネイサン選手は「これが答えではないかと考察して、
課題にアタックしてみるのは、とても面白い作業」と
述べています。困難なこともあえて楽しむというアプローチも
大事です。

「競技スケートは永遠にできるわけではなく、
いずれは次の人生に移っていかなくてはならない時が来る。
身体が動くうちにスケートを通して色々なことを
学びたいと思っているんです」

このようにも述べています。

私自身、いつまで通訳者人生を送れるかはわかりませんが、
だからこそ、今を大切にして様々なことを
学びたいと思っています。

通訳業務の予習から得られた人生訓でした。

(「Number」2019年12月12日 991号 文藝春秋発行)
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まずは易しい内容から [仕事]

通訳者の仕事というのは、現場でのパフォーマンス以前に
どれぐらい予習をしているかで成否が分かれます。
業務依頼があった時点で「予習開始」。
ここからいかに効率的・集中的に勉強するかがすべてなのです。

今はネットで調べればすぐに沢山の情報にありつけます。
ただ、私の場合、大量の情報に接してしまうと
かえってこんがらがってしまうため、まずは易しい内容から
アプローチするようにしています。

この方法を取り始めたのは、まだ通訳者として駆け出しのころでした。
そのとき依頼されたのは「釣り用具」の通訳。
まだネットもメールもない時代。通訳のアサインメントは
電話連絡でした。

依頼の電話を受けて真っ先に向かったのが書店です。
「釣り→釣り雑誌」と思い立ち、まずは雑誌を購入しました。

雑誌はカラーですし、アマチュア向けに容易に書かれています。
私のような「超」が付くような素人でもなんとか理解
出来そうです。最初に雑誌に目を通し、ある程度わかったら
次は釣りの専門新聞へと移行しました。雑誌には
記事だけでなく、グッズの広告も出ています。
こうした内容も丹念に読んでおくと、専門新聞も
理解しやすくなります。

このように「まずは易しい内容から難易度を上げていく」という
方法は、今も続いています。釣り用具の通訳以降、
総合格闘技の通訳を請け負った際にも、このやり方で対応しました。

大人になってしまうと、「今さらレベルを下げるなんて」と
何となく引け目を感じてしまいがちですが、私は
「正々堂々とレベルを下げるべし」と思っています。
よって、子ども向け図鑑や「ポプラディア」のような
児童向け百科事典はもちろんのこと、ウェブサイトの
「きっずページ」などは大いに重宝しています。

ちなみに今日は「節分」。幼児保育者向けのサイトに
わかりやすい説明がありました!

https://hoiclue.jp/1545.html

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ブラブラ歩きも役に立つ [仕事]

放送通訳の現場では、実に多様なトピックが飛び込んできます。
政治、経済、災害、事故、戦争、科学に医学、
芸術、セレブなどなど、本当に沢山あります。
もともと知っている話題であれば落ち着いて通訳できるのですが、
「人生で初めて聞いた!」などとなると、非常に緊張します。

会議通訳もなかなかチャレンジングですが、
事前にトピックについて知らされ、かつ、資料も
頂けていれば予習の方向性もわかります。
一方、ニュースであれば当日になるまで何が飛び出すか
想像できないのです。「今日はたぶんこの話題かな?」と
あたりをつけて自宅を出発したところで、
突発事件が発生すればすぐにbreaking newsに切り替わります。

ところで先日私はCNNでAmanpourという番組通訳を担当しました。
その中でフランスの映像制作者のインタビューが出てきました。
クルド兵士たちのドキュメンタリーを作った方でした。

フランス人の英語ですので、いつも以上に私は緊張しました。
なぜなら日ごろはアメリカやイギリス・豪州英語に慣れているため、
フランス人が話す英語をあまり耳にしたことがなかったからです。
発音の特徴を意識しつつ、「多分あの英単語のはず」と想像し、
神経を研ぎ澄ませて聞きながら訳していきました。

インタビュ―内容は多岐にわたり、やがて「戦争論」へと
シフトしていきました。そこで出てきたのがClausewitzです。
「戦争論」の著書で有名なKarl Von Clausewitzのことです。
日本語では「クラウゼヴィッツ」と言います。

私はクラウゼヴィッツの著書は読んだことがありません。
けれども書店で本の名前と著者名だけは目に留まったことが
あります。戦争を語る上で「戦争論」は古典とも言えます。
そうした「表面的ではあるけれど、知ってて良かった!」ということが、
放送通訳現場では大いに役立つのです。

そう考えると、「たまたま時間があったので立ち寄った書店での
ブラブラ歩き」が、いつの日か助けになるというのが
この仕事なのですね。

そうした瞬間に通訳中に出会えると、とてもうれしくなります。
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世界テニス国別対抗戦ATPカップ2020 通訳(お礼) [仕事]

1月3日から昨日まで開催されていたテニスのATPカップ2020。
昨日の決勝戦ではセルビアがスペインを下し、
大会初優勝を飾りました。AbemaTVにて放送されたこの番組で私は3日間に渡り、
優勝選手インタビューおよび表彰式の同時通訳を
担当させていただきました。

この番組は視聴者の皆さんがリアルタイムでコメントを
書き込めるという、私にとっても非常に刺激のある番組でした。
本番中に通訳者のことばに耳を傾けてくださり、
コメントをくださいました皆様、本当にありがとうございました。

また、わざわざネットで本ブログを探してくださり、
個別にコメントをお寄せくださいました皆様にも御礼申し上げます。
本ブログはコメント非公開ではあるのですが、いただいた
お言葉はどれも大切に読ませていただきました。
通訳者にとって、フィードバックを頂けることほど
ありがたいことはありません。

またいつかどこかで、このような素晴らしい大会の
通訳を仰せつかることができますよう、今後も精進して
まいります。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

以下は表彰式の動画です:

https://abema.tv/video/episode/38-289_s15_p8

無料であと6日間視聴できるそうです。
お時間がございましたら、ご覧いただければ幸いです。
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通訳者=アスリート? [仕事]

10日ほど前にAbema TVにてATP Cup 2020という
テニスの国別対抗戦の通訳を担当いたしました。
1月3日の当ブログでもご紹介しています。

ATP Cup 2020は国同士が対戦するというトーナメントで、通訳者の私は
優勝選手や優勝国のインタビューをおこなうというものでした。
会場はオーストラリアの3都市にあり、控室では
控室においてそれぞれの試合を同時進行で見ながら、そろそろ試合終了と
いうころにスタジオに入り、通訳するというものです。

私自身、テニスを見るのは好きで、幼少期にイギリスで
暮らしていたころ、学校の授業でテニスをしたことがあります。
当時の私は体育がからきしダメで、渡欧前の
体育の成績は5段階評価の1。イギリスに行っても
運動神経は鈍いままだったのですが、なぜか自分と相性が
良かったのがテニスでした。ずば抜けて上手だった
わけではなかったのですが・・・。

というわけで今回初めていただいたテニスの通訳業務は、
私に幸せな時間をもたらしてくれました。

シドニー、ブリスベン、パースから生中継される試合はどれも見ごたえがありました。
私は1980年、ちょうど日本に帰国する年にロンドンで
ウィンブルドン選手権・男子決勝戦をテレビで観ています。
ボルグ対マッケンローの試合で、今でも伝説として語り継がれています。
ATPの今回のトーナメントは、私にとって80年のあの戦いに
匹敵するぐらいハラハラドキドキでした。

手に汗握るような状況で私自身のアドレナリンがMAXとなった直後に
優勝インタビューが始まります。必然的に私の通訳もテンションが
高くなりました(生でお聞きの方が、音量ボタンを
下げてしまわれるのでは、と内心危惧しておりました)。

それはさておき、この日の私の担当は朝から夕方まで。
後任の通訳者にバトンタッチしてリリースとなりました。

ところがよほどテンションが上がったままだったのでしょう。
局を出てからも興奮が冷めやらず、クールダウンするために
思わず2駅分歩いてしまったほどでした。さらに新宿駅で
しばらくウィンドーショッピングをして、ようやく頭が
平常に戻った次第です。

そう言えば某サッカー選手は21時ぐらいに試合が終わった後、
軽くジョギングをしてから遠征先のホテルに戻ると聞いたことが
あります。通訳者もある意味ではアスリートに近いのかも・・・!
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メ?ミ?サ?ザ? [仕事]

何とも妙なタイトルでスミマセン。
電波に声を乗せる仕事をしていると、アクセントや表記に
非常に敏感になります。私が携わるCNNjの場合、
準拠となるのはやはり公共放送であるNHKです。
たとえば固有名詞や要職者の肩書などもNHKが放送で
使っているものを私たちも用いるようにしています。

90年代にロンドンのBBCで勤務し始めたころのこと。
とあるサッカー選手の名前で部内が侃々諤々となりました。
選手名はGonzalezです。

当時はまだ今ほどインターネットが普及していませんでした。
よって、ゴン「ザ」レスなのかゴン「サ」レスなのかで
日本人通訳者も迷ってしまったのです。
サッカーの場合、日本でもファンがいますので、
人の名前を間違ってしまえば失礼に当たります。

「サ?ザ?どっちだろう?」

と先輩方も迷っていたようでした。

ちなみに英語風に発音すれば「ゴンザレス」なのですが、
スペイン語の発音ルールにはzを無声音で発音するというものがあります。
そうなると、この選手がスペイン出身であれば正しくは
「ゴンサレス」となるのですよね。

ちょうど私がBBCに入った直後の出来事であったため、
今でもこの時のことは強烈に覚えています。
以来、たった一文字であってもないがしろにしてはならない
という思いでこの仕事を続けています。

それが体質に染みついてしまったからなのでしょう。
先日ラジオのクラシック番組を聴きながら気になったことがありました。
曲名は「幻想序曲『ロメオとジュリエット』」、
作曲はチャイコフスキーです。

ん??ロメオ?ロ「メ」オ?
ロミオでなかったかしら?

こうなるといてもたってもいられなくなり、即リサーチです。

ネットで新潮文庫のタイトルを調べたところ、
「ロミオとジュリエット」(シェイクスピア作、福田恒存訳)が
見つかりました。こちらはロミオでした。

ということは、チャイコフスキーの曲は「メ」?
今度はアマゾンのCDタイトルを検索です。

するとやはりそうでした!曲名だとロメオだったのですね。
全音のスコアもそうでした。

ということで、リサーチはこれでおしまい。
気分もスッキリ、爽快な達成感です(←変かしら?)。
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世界テニス国別対抗戦 ATP Cup 2020 通訳 [仕事]

1月3日金曜日にAbema TVにてATP Cup 2020というテニストーナメントの
通訳を務めさせていただきました。優勝選手・優勝国インタビューです。

オーストラリア3会場からの実況生中継を東京のスタジオで
ハラハラドキドキしながら見た直後のインタビューでした!
私にとってはどの試合も1980年のボルグ・マッケンロー戦に
匹敵するぐらい見ごたえがありました(すみません、古い話題で)。

トーナメントは1月12日まで続きます。
テニス好きの方はもちろん、馴染みのない方もこのトーナメントを
見ればきっとテニスに魅了されると思います!

https://abema.tv/video/title/38-289
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山火事からグリフィンへ [仕事]

まだ三が日が続いていますが、私は元旦から仕事始めです。
実は年末年始というのは、都内が空いており、電車もガラガラ。
移動するにはとても楽なのですね。かつてCNNが原宿にスタジオを
構えていたころは、明治神宮の参拝客を横目に仕事へ向かって
いました。華やかな着物姿や家族連れなど、ほのぼのする光景でしたね。

さて、今日は放送通訳の話です。

ニュースの同時通訳をしている際、どこを見ているのかというと、
実は色々なものを同時進行で確認しています。
インタビューの場合は画面にアップで映し出される方の
表情や身振り手振りなど、その人の「ホンネ・イイタイコト」を
知る上で貴重な情報源として活用しています。
眉間にしわを寄せていたり、派手に手を動かしていたりという様子だけでも、
こちらに訴えてくるものがあるからです。それを日本語通訳にも
反映させたいと私は思っています。

さらに注目する点としては、画面下に表示されるテロップも
貴重な情報となります。紛争であれば死者や犠牲者数、
事件であれば起きた場所、誰が・何が・どうなったかということが
表示されるのです。ただCNNの場合、すべて大文字ですので
私としては大文字小文字の方が読みやすいなあとは思うのですが・・・。

一方、こうした表情やテロップ以外にも、画面の中に表れる
様々な光景も私は見るのが好きですね。それをヒントに
後で自分でリサーチし、そこから新たな勉強へとつなげるようにしています。

たとえば数週間前からオーストラリアで続いている山火事。
大規模な火災となり、過日はハワイで休暇中だったモリソン首相が国内からの
批判を受けて急遽ホリデーを切り上げて帰国しました。
そのときのニュースに映し出されたのが、オーストラリアの
消防車です。私が注目したのは、「どこの自動車メーカー?」
ということでした。

よーく見ると、消防車の前の部分にSCANIAの文字が。
調べたところ、スウェーデンのトラックやバスなどの製造会社でした。
日本では「スカニア」という名前です。
ロゴマークは王冠をかぶったグリフィン(伝説上の生き物で、
鷲や鷹の上半身とライオンの下半身からなる)です。
Scaniaという社名の語源はスウェーデン最南端のScania州から
とったのだそうです。グリフィンのマークも州の印からだと
ありました:

https://www.scania.com/group/en/griffin-watching-over-scania/

「山火事→スカニア→グリフィン→スウェーデンの州」という具合に、
今回も楽しく学べました!
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New Year's Rockin' Eve 2020 (追記あり) [仕事]

このたび下記の番組に携わらせていただきました。

https://abema.tv/channels/special-plus/slots/FJS9XdaHHC64f1
「国内独占 BTS生出演!NEW YEAR'S ROCKIN' EVE 2020」

ニューヨークのカウントダウンを実況中継している番組です。
本日よりあと6日間無料で視聴できます。
BTSファンの方、カウントダウンの雰囲気を味わいたい方、
お時間がございましたらご覧いただければ幸いです。

(追記:すでにご覧いただき、こちらのブログへコメントを
お寄せいただきました皆様、ありがとうございます!
わざわざ検索して当ブログにお越しいただきましたこと、感謝します!!)



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質問の仕方 [仕事]

国際会議の同時通訳というのは、何度携わっても私の場合
緊張します。放送通訳も同様です。ただ、私自身
「緊張するのは構わない。必要以上にアガらなければそれでよし」と
自分に言い聞かせています。適度の緊張感があった方が
集中できると考えているからです(こじつけ?)。

会議通訳の場合、事前に原稿や関連資料をいただけることもあり、
その場合は予習がしやすくなります。
自分なりに単語リストを作ったり、登壇者の情報を
あらかじめ調べて関連書籍や動画をリサーチできます。
それだけでも本当に助かります。

一方、緊張度が高まるのが「質疑応答時間」。
聴衆からどのようなお尋ねが出るかわからないからです。

私にとっての理想の質問は以下の通りです:

1.質問項目がコンパクトにまとまっていること
2.自分の意見を長々と述べていないこと
3.質問数を3つ以内に絞ってあること
4.主語と動詞がはっきりしていること

このような感じです。

一方、今まで難儀した質問としては、

1.質問タイムなのに自分の経歴や意見を延々と語るケース
2.主語や動詞が不明瞭
3.一つの質問を解答してもらった後もさらに質問する

といったところでしょう。

11月18日月曜日朝刊の日経新聞に、池上彰氏が
次のように記していました:

「シンポジウムでの質問は『できるだけ短く、
わかりやすく』が肝心です。ほかの質問希望者と
時間を分け合う意識は大事なマナーです。」

通訳者からもこれを切にお願いできたらと思います。
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