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音日記 [日々の暮らし]

先日、とあるニュースレターを頂いたところ、興味深い言葉に
出会いました。「音日記」です。

本文を読み進めると、その執筆者のお子さんが自宅待機中に
学校の課題として「音日記」を綴るように言われたとのこと。
夜寝る前あるいは朝一番に聴いた音は何か、
一日の中で一番大きい音は何だったか、
一番きれいな音は何だったか、ということに注目するように
ということだそうです。

私は朝のウォーキングの際、鳥の鳴き声によく注目しています。
残念ながらあまり鳥の種類に詳しくないため、スズメ、ハト、カラス
ぐらいしか識別できません。それでも実に美しい鳴き声の鳥に
遭遇(いえ、実際には見られず鳴き声だけ)することもあります。

以前、近所の公園に朝、出かけた際、牛のような鳴き声を
耳にしたことがありました。これは何かしらと思ったところ、
ウシガエルだったのですね。

耳に入ってくる風の音、地面に当たる雨の音など、
身の回りには音がたくさんあります。今の時期、窓を開けると
外からは風のそよぐ音も聞こえてきます。

音を味わいたいと改めて思います。
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「想像力」 [仕事]

通訳をしていく上で必要なことは色々とあります。
語彙力、文法力、発声力、間の取り方などなど、
挙げ始めるとキリがなさそうです。

中でも私が重視するのは「想像力」。
話者が語った内容を頭の中で空想して、それを
目的言語にするのが一番通訳しやすいと感じているのです。
もちろん、何も足さず何も引かずで訳せれば理想ですが、
機械的に辞書通りの訳出ができたとしても、
聴き手に伝わらなければコミュニケーションは成り立たないのですよね。
ですので、「想像力」は必須だと感じます。

そんな思いを抱いていたとき、偶然目にしたのが
イラストレーター・わたせせいぞうさんのインタビューでした。
「ハートカクテル」が代表作です。

わたせさんは次のように述べています。

「80年代は一人で考える時間がたくさんありましたが、
今は何でもすぐにスマートフォンで解決してしまう。
想像する時間がないんです。
携帯のない時代は恋人が30分遅れてきたら、
待っている間は連絡も取れないけれど、
ずっと相手を思っていました。
一つの恋が想像でどんなに美しく劇的な恋になるか・・・。
イメージする力の大切さが伝わるといいですね。」

通訳業務、とりわけ放送通訳というのは「恋」とは
程遠い現場ですが、何はともあれ、想像をすること
というのは、とても大切だと私は感じています。

(「想像力の大切さ伝えたい わたせせいぞうさん」『語る』
日本経済新聞2020年6月8日月曜日夕刊)
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「原点の気持ち」 [日々の暮らし]

日経新聞には様々なコラムがあり、どれも読みごたえがあります。
著名人が記すものもあれば、専属記者が署名入りで書くものもあり、
いずれも読むたびに私は考えさせられています。

中でも欠かさず読んでいるのが夕刊に定期的に
掲載されているプロトレイルランナー・鏑木毅さんの文章です。
もともと地方公務員であった鏑木さんは、一大決心をして
プロに転向されました。安定している公務員の地位に別れを告げ、
家族を支えながらプロ生活を送られています。

しかし、昨今のコロナでレースは軒並み無くなりました。
感染リスクもあるため、トレーニングも思うようにいきません。
収入面での不安もあることでしょう。

6月3日のタイトルは「揺らぐ仕事への自信と誇り」でした。
緊急事態宣言が解除されても、レースがが元に戻るのは
「もっと先のこと」と鏑木氏は綴ります。

先が読めないというのは辛いものです。私もフリーで仕事を
していますので、その感覚は痛いほどわかります。

それでも鏑木氏はこう綴っています:

「現在の苦境を乗り越えるには、この仕事を選んだ原点の気持ちを
もう一度思い出し、心構えを新たにして再出発に備えるしか
ないのだろう。」

通訳者仲間を見渡してみると、「今こそ勉強の時期!」と
集中的にリサーチや新技術の習得に励む同僚・先輩がいらっしゃいます。
そうした皆さんの様子を見るにつけ、前を向く大切さを感じます。

「なぜ自分は通訳という仕事を選んだのか?」

鏑木さんが述べるように、「原点の気持ち」を改めて考え、
再出発に向けて歩み続けたいと私は思っています。

(「今日も走ろう」鏑木毅 日経新聞2020年6月3日水曜日夕刊)
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「すぐ使える英語表現」更新のお知らせ [掲載]

第225回は snap up(飛びつく)というフレーズです。

https://www.hicareer.jp/inter/housou/17837.html

どうぞよろしくお願いいたします。

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ミシン [日々の暮らし]

先日、江戸東京たてもの園へ出かけました。ここは様々な建物を
移築したミュージアムで、かやぶき屋根の建物からレトロな
昭和建造物に至るまで、大いに楽しめる屋外型博物館です。

とある建物の中で、ふと目にとまったのが昔の「ミシン」でした。

そこに設置されていたのは鉄製のがっちりした足踏みミシン。
それを見て思い出したのが、幼少期の光景でした。

実家の母は縫物が昔から好きで、今でもよくミシンに向かっています。
我が家の子どもたちが幼稚園の頃には、園バッグやお雑巾などを縫ってくれました。
私がお裁縫能力ゼロでしたので(ボタン付けがやっと・・・)、
大いに助かったことを覚えています。

私が海外で暮らしていた幼少期にも、母は日本から持参したミシンに
向かっては、自室で色々と作っていました。
学校から帰宅した際、電動ミシンの音が響いていると、
「あ、今日も母は何か縫っているのだなあ」と思ったものでした。
日本のミシンでしたので、変圧器を使いながらの作業だったのですよね。

当時我が家にあったのはJUKIと書かれたミシン。
子ども心に「ジュキって何だろう?」と思っていたのですが、
正しくは「ジューキ」という会社です。
調べたところ、創業は1938年。現在、本社は東京都多摩市にあります。

Wikipediaによれば、創業当時は戦争の足音が近づいていたころ。
陸軍が使う機関銃や小銃を作るために設立された会社だったのだそうです。
戦後は武器製造からミシン生産に転換したとあります。

ところで高校時代、私はバスを2路線乗り継いで
通学していました。その路線沿いにあったのがJUKIの工場でした。
道路脇の電柱には「JUKIパン」という広告もあり、ミシン会社がパンを作ることの
ミスマッチに驚いたものでした。今、調べたところ、
戦時中の銃製造から終戦直後はパンを焼くことで切り抜け、
その後、ミシン生産へと移行したことを知りました。

その後、この場所はどうなったかしらと調べたところ、工場は売却され、
跡地には商業施設や住宅が建ったようです。時代は移り変わりますよね。

江戸東京たてもの園で目にしたミシンから、色々なことを思い出した
ひとときでした。

ちなみに「ミシン」は英語のsewing machineがなまって
日本語化したものです。ということは、「洗濯機=washing machine」が
場合によっては「ミシン」になったかもしれませんよね?
「洗濯物がたまっちゃった。ミシン回さなきゃ」という
表現になっていたら・・・などと妙な発想をしてしまいました。
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NHK「ニュースで英語術」掲載のお知らせ [掲載]

2020年6月11日放送分の翻訳・解説を担当いたしました。
タイトルは「ブルーインパルスが感謝の飛行」です。

https://www.nhk.or.jp/gogaku/news/2006/11.html

どうぞよろしくお願いいたします。
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一途に生きたかどうか [日々の暮らし]

日経新聞の夕刊に毎日掲載されている「あすへの話題」。
これは様々な世界で活躍される方々が、一定期間、
寄稿されるコラムです。現在、水曜日を担当されているのは
元外交官で現在は日本国際問題研究所理事長の
佐々江賢一郎氏です。1年ほど前、とあるセミナーで
佐々江氏のお話を伺ったことがあるのですが、
ユーモアたっぷりに国際情勢について語っておられたのが
印象的でした。

6月3日「あすへの話題」のタイトルは「晩年」。
佐々江氏は外交官という多忙な仕事の中、偉人伝や
自伝などを読んでこられたとありました。
「全く異なる人生を歩んだらどうだろうと思って画家や俳優の
物語も読んだりする」と書かれています。
ノンフィクションであれ、小説であれ、自分以外の
人生を追体験できるのは、書籍の醍醐味ですよね。

佐々江氏がエッセイの後半で紹介なさっていたのが
女優ローレン・バコールです。ハンフリー・ボガートと夫婦であったことを
私は初めて知りました。二人は相思相愛の夫婦だったそうです。

佐々江氏が最後に記していたひと言も、その一方で
印象的でした:

「幸せに晩年を過ごす物語は心が休まる。
しかしハッピーエンドでなくても一途に生きた人の物語は
心により深く残る。」

人生をどう生きるか。先人たちの生き方から私たちは
多くのことを学べるのでしょうね。

(日本経済新聞2020年6月3日夕刊)
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JACI(日本会議通訳者協会)掲載 [掲載]

連載中の「放送通訳の世界」、
第21回は「負担無き放送通訳をめざして」というタイトルです。

https://www.japan-interpreters.org/news/broadcast-shibahara21/

お時間がありましたらご一読いただければ幸いです。
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「通訳者のひよこたちへ」更新のお知らせ [掲載]

「通訳者のひよこたちへ」第447回がアップされました。
タイトルは「コロナ後の新たな生き方、仕事の仕方」、
今回は「奈良時代MAP-平城京編」(新創社編集、光村推古書院、2007年)
をご紹介しています。

https://www.hicareer.jp/inter/hiyoko/18097.html

お時間がございましたらご一読いただければ幸いです。
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小さな笑い [日々の暮らし]

先日読んだ日経新聞に興味深い一文がありました。
作家の西崎憲氏によるものです。日曜日の「文化欄」で、
タイトルは「小さく軽い笑い」でした。

中でも嬉しかったのはP.G.ウッドハウスの人気シリーズ
「ジーヴス物」について言及されていたことです。
これは執事と主人のやりとりを描いたシリーズなのですが、
私は一作だけ読んだことがあります。なかなか執事が
しっかりもので、読んでいて笑みがこぼれてしまう、そんな
作品でした。

もう一つ、西崎氏の文章で印象的だったのが、以下の引用です:

「人は弱く、人生は厳しい。
小さく軽い笑い、それをわたしは讃賞したい。
その種の笑いはわたしたちの日々を少し明るくしてくれる。
そして少しの助けで十分なことも多い。」

特に最初にある「人は弱く、人生は厳しい」ということばは、
とりわけ今のコロナの最中で私の心に響きました。
人類というのは、これだけ知識を付けて技術力を有しても、
ウイルスのような魔物によって、いとも弱くなってしまう。
そのさなかに置かれる人間の人生というのは、厳しいものに
なってしまうのですね。

だからこそ、小さな笑い、穏やかな笑いがあるだけでも、
人は前に進めるのだと私は感じています。

(「小さく軽い笑い」西崎憲
日本経済新聞2020年6月7日 文化欄)
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