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「魂を想いに乗せる」 [日々の暮らし]

映画監督の安藤桃子さんは日経新聞に週一回、
コラムを持っておられます。「くらしナビ」というページです。
安藤さんは父君が俳優の奥田瑛二氏、お母様はエッセイストの安藤和津さんです。
私にとっては奥田さんや安藤さんの方が馴染みがあるのですが、
今や二人のお嬢さんも監督や女優(安藤サクラさん)として
大活躍されています。

6月10日のエッセイは「表現の自由」というタイトルでした。

コロナが深刻になった3月下旬、奇しくも奥田さんはロケハンで
桃子さんのいる高知に来ていたこともあり、そのまま
帰京できず、しばらく一緒に暮らすことになったそうです。
ちなみに奥田さんは「50歳になったと同時に『飛ぶ!』と決め、
念願だった映画監督としてデビューを果たした」と
桃子さんは綴っています。それまで人気俳優だった奥田さんにとって
大きな一歩だったことでしょう。

その後、高知で寝食を共にするようになり、
二人は映画を撮影するようになったそうです。
そのことについて桃子さんはこう綴ります。

「映画の現場は何よりも互いの信頼関係と
チームワークである。」

「いかなる表現も、魂を想いに乗せるという起点あってこその
自由なのだ。」

この2文は私にとって印象的でした。

「信頼関係」「チームワーク」は通訳の世界も同じです。
複数の通訳者と最大限のアウトプットをめざして
同時通訳をするのであれば、この2つのキーワードはマストです。
一方、授業も同様だと私は考えます。講師と受講生の信頼関係が
あって初めて、お互いに良い授業を作り上げようという
チームワークにつながると思うのですね。
家族も同様のことでしょう。家族だからとて甘えてしまっては、
信頼もチームワークも崩れてしまいます。

「魂を想いに乗せる」ということ。私の場合、
通訳もそうだと考えます。話者の魂を私の発する訳語である
想いに乗せてアウトプットする。そんな感覚で通訳をしています。

そもそもコミュニケーション自体が
「魂を想いに乗せる」という行為なのでしょうね。

(2020年6月10日水曜日夕刊)
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