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ファウチ所長 [仕事]

新型コロナウイルスの蔓延がアメリカで見られ始めてから、
連日テレビでブリーフィングをしていたのが、
国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長でした。

小柄な体格で、トランプ大統領の横に立ち、
ダミ声で会見するファウチ氏の通訳というのは、私にとり、
当初は難儀するものでした。何となく聞きづらかったのです。
また、大統領と共にずらりと演壇に並ぶ人々というのは、
私からすれば、「あ、また例の大統領の取り巻きね、所詮」
という感じでもあったのですね。

ところが週を追うごとに私の見方は変わっていきました。
氏が大統領とは異なる見解を正々堂々と、真実として
述べていることに気づいたからです。

しかし数週間前のこと。このブリーフィングは取りやめとなりました。
と同時に、大統領とファウチ氏の不仲説も流れるようになりました。
そして現在に至っています。

ファウチ氏は「真実を国民に丁寧に述べる」というスタンスを貫いています。
それはFBIのコミー長官に通ずるものがあると私は思います。
相手が大統領であってもひるむことなく、
何が真実かを常に考えながら職務を遂行しているという
共通点があるのです。私はコミー氏の"A Higher Loyalty"という本を
読みましたが、読後に大きな感銘を受けました。
そこに出ているリーダー論はファウチ氏にも当てはまると思います。

ファウチ所長は2週間ほど前、CNNでWolf Blitzerのインタビューに
応じています。そこで、自らの職責のことや現在の様子などを
包み隠さず述べていました。コロナ対策の仕事は正直なところ、
「自分にとって疲労困憊するものである」のだと。「ほとんど寝られず、
慢性疲労状態にある、でもアドレナリンで何とかやっている」
とも述べていました。出来る限り体を動かし、外食ができない分、
地元のレストランのテイクアウトをして飲食店を応援している、
とも語っています。

私にとっては次の言葉がとても心に残りました:

"It's the life I have chosen, and I have no regrets about it"

どのような状況に置かれたとて、それは自らが選んだ
人生である。ゆえに後悔していないのだ、と。

ファウチ所長は現在79歳。この文章から、氏の覚悟が感じられます。
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