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「あしたのことは考えない」 [日々の暮らし]

昨日に引き続き、新聞で見かけた文章をご紹介しています。
今日、取り上げるのは野球評論家、権藤博さんのことばです。
掲載されていたのは、人生100年関連の別刷りでした。

ここ数年、人生100年ということばが本当によく聞こえてきます。
医療も進歩しましたし、健康への意識が高まっていることも
あるのでしょう。昔と比べて大いに平均寿命も延びているのは事実です。
ただ、同じ100年間とは言え、若い時代や壮年期と同じ
気力体力で行くことは残念ながら限りなく難しくなります。
年齢を重ねれば、それなりの衰えが出てくるからです。
どれほど技術の進歩があったとしても、そこは
生物としての生き物、人間、ということになります。

権藤さんのインタビューで、記者は
人生の終わりを意識することはあるかと問いています。
それについての答えは次の文章でした:

「ありません。プロ野球の監督は大体、クビになって終わります。
監督になった瞬間から1日、1日寿命が縮まっていくのです。
人生だってオギャーと生まれた瞬間から、寿命は縮まっていく。
だからあしたのことは考えない。とにかく今日を生きる。それだけです」

永久に監督業を務めることはできない。このプレッシャーは
非常に大きいと思います。通訳業の場合はよほどヘマをしでかさない限り、
クビになることはないでしょう。けれども技術の進歩により
人間の同時通訳者は不要という時代が来れば、私たちも
お払い箱になりかねません。

技術の発展は喜ばしいことではあります。
けれどもその一方で、何らかの職業が消えていくのも
これまた事実なのですよね。

せめてそれまでの間、お客様に喜んでいただき、一日でも長く
この仕事を続けられるようにしたい。

そのように思っています。

(日本経済新聞2020年5月28日 別刷り
「自然体で今日を生きる」野球評論家 権藤博さん)
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