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「想像力」 [仕事]

通訳をしていく上で必要なことは色々とあります。
語彙力、文法力、発声力、間の取り方などなど、
挙げ始めるとキリがなさそうです。

中でも私が重視するのは「想像力」。
話者が語った内容を頭の中で空想して、それを
目的言語にするのが一番通訳しやすいと感じているのです。
もちろん、何も足さず何も引かずで訳せれば理想ですが、
機械的に辞書通りの訳出ができたとしても、
聴き手に伝わらなければコミュニケーションは成り立たないのですよね。
ですので、「想像力」は必須だと感じます。

そんな思いを抱いていたとき、偶然目にしたのが
イラストレーター・わたせせいぞうさんのインタビューでした。
「ハートカクテル」が代表作です。

わたせさんは次のように述べています。

「80年代は一人で考える時間がたくさんありましたが、
今は何でもすぐにスマートフォンで解決してしまう。
想像する時間がないんです。
携帯のない時代は恋人が30分遅れてきたら、
待っている間は連絡も取れないけれど、
ずっと相手を思っていました。
一つの恋が想像でどんなに美しく劇的な恋になるか・・・。
イメージする力の大切さが伝わるといいですね。」

通訳業務、とりわけ放送通訳というのは「恋」とは
程遠い現場ですが、何はともあれ、想像をすること
というのは、とても大切だと私は感じています。

(「想像力の大切さ伝えたい わたせせいぞうさん」『語る』
日本経済新聞2020年6月8日月曜日夕刊)
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