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これで良かったのだ、と [日々の暮らし]

ヤンソンス訃報のショック、実はまだ続いています。
ひとりの芸術家としてだけでなく、その人間性に惹かれていた
こともあり、肉親を失ったような衝撃を受けています。
しばらくヤンソンス話題が続くかもしれませんが、
ご容赦くださいませ。

昨年秋のバイエルン来日公演ではヤンソンスが病気で降板したため、
私は今年1月にロンドンのバービカンホールで行われたヤンソンスの
コンサートを聴きに行きました。あれが私にとって、
生前のヤンソンスの振りを見た最後でした。

そのときの曲目は、R.シュトラウスの「英雄の生涯」。
私の大好きな曲でした。舞台袖からの上り下りも手すりを使って
ゆっくり歩んでいたあたり、すでに体調は万全ではなかったのでしょう。
訃報の後、ネットで各種インタビューや記事を読んだところ、
晩年はあまりにも心臓の調子が悪く、楽屋口に
救急車を待機させていたこともあったのだそうです。

私が初めてヤンソンスを見たのは1993~94年にかけてで、
96年の心臓発作の前でした。当時の映像をYou Tubeで検索すると
たくさんヒットします。ここ数日、そうした映像を見ながら、
「そうそう、こういう振りだったなあ」と懐かしく思っています。
ちなみに発作に見舞われた後、ヤンソンスは中途半端な振りはしたくないとの考えに
いたったそうです。よって自らの振りをセーブすることはしませんでした。
とは言え、ピーク時と比べれば動きは控えめになっていっていました。

最後に見た公演が「英雄の生涯」で良かったと私はつくづく思っています。
この曲にはストーリーがあるのです。人としてどう生きていくべきか、
ヤンソンス亡き後の私はどういう方向をめざすべきか、
今、真剣に考えさせられています。シュトラウスの作曲の根底にあった
思いなどにも注目したいと思っています。

ところでヤンソンスの訃報を受けてから、しばらくご無沙汰していた
クラシック愛好家である友人たちと思いを共有することが
メールを通じてできました。ずっと音信不通だった友達と再接点を持てたのも
ありがたいことでした。これもヤンソンスが結んでくれた
ご縁なのでしょう。これで良かったのだ、と思います。
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