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生き物のチカラ(その②) [日々の暮らし]

小学校時代の私の家にハムスターがやってきたという話を
昨日書きました。今日はその続きです。

暗い秋からますます寒さ厳しい冬へと突入したオランダに
おいて、私を支えてくれたのはハムスターでした。
ケージの中をちょこまかと動き、高速で毛づくろいを
したりという、どこまでも愛くるしい姿に私は癒されました。
自分よりも小さきものを生活の中において愛でることは
とても癒しになるのですよね。

数年後のロンドン転居で残念ながらハムスターは
友人に譲ることになったのですが、それまでの数年間、
私を支えてくれたことに変わりはありません。
幼児から児童へと成長するさなかにハムスターを飼うことが
出来たのは、本当に良かったと思っています。

その後、私の人生においては長い間、ペットというものが
いない日々が続きました。

結婚して子どもたちが生まれ、「動物を飼いたい」と
言い始めました。子どもというのは生き物が好きなのですよね。
ただ、親になった私は、自分が飼っていたにもかかわらず、
うーん、と思ってしまいました。

「賃貸だから」「イキモノは死んでしまうと悲しいから」
「共働きだし」といった理由を掲げて、飼うことを
諦めさせていたのです。

けれども今春、コロナがじわじわと蔓延し始めたころ、
娘の長年のリクエストが叶うこととなりました。
我が家にハムスターがやってきたのです。
もちろん、本人が全面的に面倒を見る、という条件での
購入です。

長いこと忘れていたハムスターとの生活。
私にとっては、本当に懐かしい日々が再開しました。

「ああ、アムスのマンションでお世話したなあ」
「滑車で真夜中、うるさかったなあ」

という具合に、自分の幼少期がよみがえってきたのですね。

ハムスターを抱っこすると、ほんのりと温かみが伝わってきます。
呼吸をしている背中はぴくぴくと動き、
きょろんとした小さな黒目は愛らしさを放っています。
とにかく可愛く、娘と愛でる日々は私に癒しをもたらしています。

イヌであれネコであれハムスターであれ、家の中に
生き物がいるというのは、人の心にともしびを与えてくれるのでしょうね。
たとえ仕事が忙しくても、悩みごとを抱えていても、
ハムスターを眺めるだけで、気持ちが前に向くことができます。

ハムスターのお世話をするのは人間ですが、
人間の心の「お世話」をしてくれているのは生き物の方なのですよね。
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生き物のチカラ(その①) [日々の暮らし]

小学2年のときにオランダのアムステルダムに引っ越しました。
時期は9月。日本の地元小学校で1学期を終えて
夏のラジオ体操にはしっかり参加。9月に入ってすぐに母と二人で
飛行機に乗り、アムスへ向かいました。父はすでに
半年前から現地で単身赴任をしていたのです。

初めて手にするパスポート。初めて乗る飛行機。
今のように海外旅行がメインでない時代でしたので、
オランダ行きの日航機はガラガラでした。
乗客よりも乗員数の方が多かったですね。

オランダは埋め立て地からなる国で、どこを見渡しても
まっ平です。日本はまだ残暑の厳しい日々でしたが、
一方のオランダはと言えば、レンブラントの絵に出てくるような、暗い雲が
空を埋め尽くしていました。そのような場所で新生活が
始まったのですね。

父は仕事で激務。母は異国の地で慣れない生活が続き、
体調を崩してしまいました。私は幸いなことに、
日本人の多いインターナショナル・スクールに編入しましたので、
日本の小学校の延長のような日々でした。
アメリカ人の先生から"No Japanese!”と
頻繁に言われては、「日本語禁止」が言い渡されて
いましたね(児童というのは、1秒するとすぐお約束を
破るものでしたが)。

日中や放課後はそれでも友達がいましたので
楽しく過ごしていたのですが、やはり自宅は私にとって
弱冠さみしいものでした。母が寝込んでいることが多く、
7歳の私にとっては、何となく気持ちも上がらなかったのです。

そのような日々を送る中、日本人の友人宅で生まれて初めて
ハムスターなる小動物を見ました。愛くるしいネズミちゃんの
ような生き物に私はすっかり魅了されたのです。

兄妹がいない私にとって、ペットは私の妹や弟になってくれる。

そう考えた私は両親に飼いたいと頼みました。
そして「自分で面倒を見ること」を条件に、晴れて
ハムスターがやってきたのでした。

(明日に続く)
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コラム更新のお知らせ [掲載]

ハイキャリアで連載中の「すぐ使える英語表現」を更新いたしました。
今回はall that jazzというフレーズをご紹介しております。

https://www.hicareer.jp/inter/housou/18782.html

どうぞよろしくお願いいたします!
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離れている、ということ [日々の暮らし]

大学の今学期の授業が先日終わりました。
コロナが始まった当初は、「対面授業はおこなえるのか?」
「それともいわゆる通信教育のような感じになるのか?」
「リモートオンライン講義になるのか?」などなど、
わからないことだらけでした。

それに拍車をかけたのが、私自身の「デジタル音痴」状態です。

何しろスマートフォン・デビューをしてまだ1年程という
アマチュアです。デジタルカメラも使いこなせませんでしたし
(そしてそのまま時代はスマホカメラへ)、テレビのリモコンも
どんどんわけがわからなくなっているほどです。
このような私でライブ授業など出来るかどうか、極めて不安でした。

幸い、大学の教職員の皆様や知人のヘルプのおかげで、
何とかZOOMの基本動作は使えるようになりました。
そしてやっとこさ12回の授業を終えることができたのですね。
周りの助けがなかったら、大いに落ち込んでしまい、
授業そのものの質にも影響が出てしまったことでしょう。
サポートしてくださった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

で、そのZOOM。

使えるようになってみると、「このような便利なものが
世の中に出ていたとは!」と驚かされました。
何しろ目の前の画面に映し出されている相手は、「今この瞬間の
相手」なのです。私からすれば、「これってテレビのライブ中継
そのものでしょ!?」というほどのオドロキです。
BBC時代に、「衛星回線を使ってライブ映像の特派員インタビューは
非常にお金がかかるため、地域によっては電話回線のみで
行う」という話を聞いたことがあります。

今やそんな「高額の接続回線」など、そもそも気にしなくても
良い時代になったのですよね。
お陰で海外に住む友人ともオンラインで同窓会ができましたし、
遠方に暮らす仕事仲間と情報交換もできました。
凄いことですよね、改めて考えてみると。

「でも・・・」

という思いを、その一方で私は抱いています。

確かにライブでつながるのは楽しいことです。でも
目の前の同じ空間に相手がいるわけではありません。
手を伸ばせば触れられる、という状況ではないのです。

テレビ東京系の深夜ドラマ「40万キロかなたの恋」は、
そうした人の心理を描いたものです。私は未視聴なのですが、
日経新聞に紹介されていました。

プロデューサーの浜谷晃一氏は次のように述べています:

「会えないという点では1キロ離れていようが、
40万キロであろうが変わりない。」

私もしみじみそう思います。

(「ドラマ制作 ウィズコロナ時代の工夫」『文化往来』
日本経済新聞2020年8月8日土曜日夕刊)
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別の角度から眺めてみる [日々の暮らし]

日経新聞の土曜日には「日経プラスワン」という
別刷りが届きます。オールカラーで、様々なコラムや
連載記事があり、いつも土曜日が楽しみになっています。

その中の一つで、ついつい真剣に読んでしまうのが
「なやみのとびら」という人生相談コーナーです。
読売新聞などには定期的に人生相談の欄が掲載されて
いますが、日経の場合は、週一回、このコラムだけです。
回答者は持ち回りで様々な方が寄稿されています。

さて、8月8日土曜日の担当は石田衣良さん。タイトルは
「娘に何を教えるべきか?」でした。
相談者は40代の男性です。小1のお嬢さんがいるものの、
自分自身が口下手で、どう接してよいか悩んでいる、
という内容でした。

その問いに対する石田さんの答えは、実に
説得力がありました。石田さんは、何を話したら
良いかわからなくても、聞き役に回るならそれで良い、と
述べています。

「お嬢さんからしたら、うちのパパはいつも話をよく聞いて、
こちらの気もちを大切にしてくれるいいパパに
見えているはずです。」

なるほどなあと思いました。昨今の書店には子育て関連の
本が多数並んでおり、ついついそうした本を目にしてしまうと、
自分の子育てに自信を失ってしまいます。「世の中には
子育ても正解があるはずだ。なのにそれを実現出来ない自分は
情けない」。こう思えてきてしまうのです。

でも、そもそも正解などないのですよね。よって、
石田さんのように別の角度から眺めてみることは
とても大事だと思いました。

「愛情と支配を混同して、正しくあるべき形に、
子どもを切り刻む親も決して少なくないのです。
支配型の親よりも、あなたのように日々悩みながら
慎重に子どもに関わっていく方が、明らかに教育上の
弊害は少ない」

このように石田さんは続けています。

物事には様々なとらえ方がある。
たった一つが正解ではない。

そんなメッセージをこのコラムから私は頂きました。
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松井証券・松井道夫氏のことば [日々の暮らし]

日経新聞の夕刊に「私のリーダー論」という連載が
あります。これは複数回にわたり、企業のトップが
自らの半生を振り返り、リーダーシップについて語る
というものです。

8月6日に掲載されていたのは、松井証券の松井道夫元社長。
その中の一文が印象的でした。松井氏が奥様から
言われたということばです。それは、

「運のいい人と付き合いなさい」

というものでした。松井氏はこのことについて
さらにこう続けています:

「運は結局、気の持ちようなんです。
先行きを悲観的に考える人は、できない理由を考える。
そして論理的に悲観を語り、運を遠ざける」

とても心に響きました。というのも、私自身、
こうしたことを最近モヤモヤと感じていたからです。

かつて私にも経験があるのですが、物事を
ネガティブに考えているときというのは、
前向きに考えること自体を自分に許せない何かが
あるのだと思います。「『信じている自分』を信じることができない」
というものです。そうなってしまうと、余計
行動も取り辛くなりますし、ますます運が
遠ざかってしまいます。

上記の「運のいい人と付き合いなさい」ということばは
私なりに解釈すると、「自分に良い運をもたらして
くれる人を大切にしなさい」という意味でもあります。
そうした人というのは、自分にとって
かけがえのない存在になるのですよね。

前向きに、一日一日を大切に生きていきたい。
だからこそ、気の持ちようをどのようにするかを考えながら
最近の私は過ごしています。

(「私のリーダー論」松井証券 松井道夫元社長㊦
日本経済新聞2020年8月6日木曜日夕刊)
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「通訳者のひよこたちへ」更新のお知らせ [掲載]

「通訳者のひよこたちへ」第455回がアップされました。
タイトルは「脱出方法」、
書籍紹介は「愛する」(ティク・ナット・ハン著、河出書房新社、2017年)
を取り上げています。

https://www.hicareer.jp/inter/hiyoko/18719.html

お時間がございましたらご一読いただければ幸いです。

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新たなやり方を楽しむ [日々の暮らし]

昨日のブログで、ガス衣類乾燥機の新たな機能に
気づいて使い始めたという話題を書きました。
実は最近の私は、なるべく日常生活において
新しいことを導入してみたいという思いに駆られています。

たとえば朝食。

これまでは何一つ疑うことなく、毎朝同じメニューでした。
けれども、「これをずーっとこれからも(死ぬまで???)
食べ続けるのかしら?」と思い始めたのですね。
いくら日本人女性の平均寿命が80歳を超えたとて、
朝食の回数には限りがあります。せっかくこの世に
生まれてきたのですから、もう少しバリエーションがあっても
楽しいのではと思うようになったのですね。

そこで、これまで作ってくれていた家族に感謝しつつ、
私だけopt outさせてもらうことにしました。

考えてみれば実家にいたころや独身時代などは
朝食を自分で作っていたのです。これまで作ってもらえたことは
ありがたかったのですが、メニューが私にとって
ヘビーに感じられたこともあったので、ちょうど良い
タイミングだったのかもしれません。

いつも紅茶一辺倒だった朝の飲み物は、
その日の気分に応じてコーヒーやジュースに変わりました。
また、トースト・オンリーだった日々は、
グラノーラにしてみたり、フルーツだけという形になりました。

その結果、どうなったか。

朝からテンションが上がったのですね。

自分で考えて自分で選ぶ。自分でそれを食べる
という行為は、私が想像する以上に自分の気分を引き上げてくれました。

朝食に限らず、それまで当たり前に思って深く考えずに
続けてきたことを、改めて見直して取り組み方を
変えてみると、思った以上に大きな発見を得られるのではと
感じています。
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ホントにそのやり方で良いの? [日々の暮らし]

最近、私にとって「目からうろこ」のことがありました。
我が家のガス衣類乾燥機に関してです。

これまでの我が家は洗濯を終えた際、「ドライヤーOKの
もの(タオルやシーツなど)」だけを乾燥機に入れていました。
タイマーのセットは50分ほど。一方、それ以外の衣類、たとえば
シャツや靴下など縮みそうなものは乾燥機に入れず、
物干しサークルにとめてベランダに干すというのがお決まりでした。

しかし、勝間和代さんの「ロジカル家事」という本を
読み、衝撃(?)を受けたのです。
勝間さん曰く、洗濯後に衣類を分けたり、
物干しサークルにとめてベランダに出したり取り込んだり、
というのは非常に時間がとられてしまうのだと。

確かにそうですよね。お天気であればベランダに干せますが、
曇天や雨が予報されているものの、朝の時点では晴れ、
などという場合、どうしようか迷います。さらに
朝出して夕方取り込み、また洗濯バサミを外しては
畳む、という作業だけでも数工程必要です。

そこで棚の奥に死蔵されている乾燥機トリセツを
引っ張り出したところ、デリケート衣類乾燥ボタンなるものを
発見!低温でじんわりと乾かしてくれる、とあります。

購入後数年目にして初めてこのボタンを作動。
いやはや、ナゼもっと早くこれを使わなかったのかと
悔やまれるほど、素晴らしく乾燥してくれました。
皺にもならず、縮まず、レディースのトップスでさえ
大丈夫でした。

今まで何一つ疑うことなく、デフォルトで続けてきた
家事のあれこれ。実は見直してみると、結構無駄があったり
したのでしょうね。

新しい機能や新たなやり方に挑んでみる大切さを
改めて感じたのでした。
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褒め上手 [日々の暮らし]

通訳業界に身を置くようになってみて、気づいたことが
あります。それは、先輩方や同僚のみなさんが、実に実に
「褒め上手」なのですね。ちなみに「褒める」というのは
「単なるお世辞」とは違います。相手の良さを最大限に引き出し、
きちんと観察した上で具体的な言葉で褒めてくださることだと私は思います。

たとえば放送通訳現場。私が担当する曜日やシフト時間は
その都度異なり、ご一緒する通訳者の皆さんも月によりけりです。
よって、頻繁に顔を合わせる通訳者もいれば、それこそ
数年間、まったくご一緒せず、ということもあるのですね。

私は社会人になってから長年の間、自称
「イモダサちゃん」でした。ファッションの方程式がわからず、
何が自分に似合うのか、どういった髪型やメイクをすれば
良いのか、全く把握できていなかったのです。

フリー通訳者になりたての頃も、「通訳者=黒子だものね。
じゃ、黒を着てればいっか~」という具合。
自分で工夫して色やスタイルで冒険するなど、
とてもとてもという状態でした。ちなみに私の母は
若いころからおしゃれ大好き人間。授業参観の日など、
クラスメートから「早苗ちゃんのお母さん美人、素敵~」
と褒められたものでした。親子でもセンスばかりは全く
遺伝しませんでした!

そんな状態がずっとずっと続いていたのですが、
20年ほど前にCNNのシフトに入るようになってから、
先輩方のファッションを拝見して多いにインスピレーションを
受けたのですね。とにかく皆さんおしゃれで素敵なのです。

「人生は一度きりなのだから、もっと自分の装いに
意識を配った方が良いかなあ」と私自身、大いに反省(?)し、
試行錯誤を続けてみました。すると、周囲の皆さんも私の持ち物などに
目を向けてくださり、具体的に褒めてくださるのですね。
それが私にとっては大いなる励みとなりました。

英語学習にせよファッションセンスにせよ、一朝一夕で
出来るわけではありません。でも、周りの方のちょっとした
お褒めの言葉で私など大いにモチベーションを得ることができたと
ありがたく思っています。

褒め上手であることは、相手の良さを引き出すチカラでも
あるのでしょうね。

素晴らしい先輩方を見習いたいと思っています。
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