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四字熟語 [英語]

通訳をしていて訳出に困ることの一例に「四字熟語」が
あります。「一期一会」「千客万来」「一進一退」など
日本語にはたくさん見られますよね。

私自身が意味を分かっていれば、落ち着いて訳出できます。
けれども、なんとなーく知っているというレベルの場合、
自信を持って英語にすることができません。

要は通訳という職業は、辞書的な変換だけではない、
ということになります。中身の部分を意味として知っているか、
知識として自分の中に蓄えているかが大きなカギを握ります。

そう言えば四字熟語以外で難儀したことばがあります。
今でも覚えているのが「55年体制」ということば。
とある議員さんに表敬訪問をした際に出てきたのですが、
当時の私は日本の政治に疎く、この表現が出てきたときに
一瞬詰まってしまいました。意味は「1955年に成立した
戦後日本の政党政治の構図」(コトバンクより)です。

何分、その時の私は知識不足でしたので、「1955年?
それとも55年間、何かが続いたということ?
それとも昭和55年?」と、頭の中は完全にハテナマーク状態でした。
そのころ私はイギリス人上司(日本政治史専攻)の部下でしたので、
上司が助け舟を出してくれたおかげで救われたのでした。

ところで今、四字熟語で思い出したのが「慇懃無礼」という表現。
辞書を引くと意外と面白い訳語が出てきます。たとえば
hypocritical courtesyやsuperficially polite but rude in intent
(Weblioより)などです。

hypocriteは「偽善者」のこと。in intentは「わざと」です。
hypocritical courtesyは「偽善的な礼儀」、
superficially polite but rude in intentは「表面的には礼儀正しいが、
意図的に無礼」ということになります。

日本語の「慇懃無礼」は四字熟語としてピッタリ収まって
いますが、英語にすると何となく説明調になりますよね。

ちなみに先日「一見、いい人」という文をアップした際、
いつもコメントを下さる読者さんが「心のソーシャルディスタンス」
という表現をお書き下さいました(いつもありがとうございます!)。
慇懃無礼な人に対しては、こちらがひるんでしまえば思う壺に
なってしまいますので、まさに「心のソーシャルディスタンス」が
必要だなあと、四字熟語を機に思い出したところです。
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