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一見、いい人 [日々の暮らし]

いつもコメントを下さる読者さんが、先日私に大いなる気づきの
きっかけをくださいました(ありがとうございます!)。
以前「心の距離」というタイトルでブログをアップしたのですが、
それに関しての書き込みでした。内容としては、
「問題のある人というのは、実は一見良い人に見えてしまう」という趣旨でした。

それで思い出したのが、ずいぶん前に携わった通訳案件です。

そのとき私が担当したのは、海外からのお客様でした。
複数名で来日され、日本企業を訪問して交渉する際の通訳です。
事前に頂いた資料では今一つ内容がわからなかったのですが、
現場で訳出するにつれて意図が見えてきました。

その趣旨に私はどうしても共感できなかったのです。

もちろん、仕事ですので忠実に依頼主のことばを訳すのは
通訳者の任務です。けれども、私の中ではモヤモヤ感が募り、
やがて「これは私の人生哲学に反する」と思えてきました。

一日だけの案件でしたので、何とか無事に終えられましたが、
心は葛藤と疲労感でクタクタになっていました。
その後、ご指名でリピートの依頼もあったのですが、
丁重にお断りさせていただいたのを覚えています。

もちろん、その会社の方々は「仕事」としてなさっているわけですので、
先方を責めることはできません。私の価値観と合わなかった。ただ
それだけの話です。

ただ、一方で特徴的だったのが、「その方々が一見とてもとても
良い人に思えた」ということでした。

幸い、この業務は単発でしたので、私の方から
距離を取らせていただくことができました。でも、
もしこれが長期プロジェクトなどであった場合、私自身の気持ちが
どのようにシフトしてしまったのかは自信がありません。
自分でも知らないうちに自分の人生哲学を曲げてしまうような
感じになったかもしれないのです。

心理カウンセラーの下園壮太氏は、「『一見、いい人』が一番ヤバイ」
という本で鋭い考察を加えておられます。あの仕事のときにもし
本書をあらかじめ読んでいたら、あれほど私も動揺しなかったかも
しれません。

当時のことを改めて振り返り、自らの仕事観や人生観について
考えることができました。コメントを頂き感謝です。
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