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生身の人間にできること [日々の暮らし]

AIの発展が目覚ましい中、私たち通訳者の業界も
それに備えるべき時期に差し掛かっているように思います。
機会であれば人間とは比べ物にならないぐらい、
無限に単語や英文・英文法を習得できます。
今の技術進歩を考えれば、しかも昨今話題になっている
ポケトークのような商品を念頭に置けば、いずれ
生身の通訳者を淘汰する日が来てもおかしくありません。

「だけど」と、私は思うのです。

CDの台頭でレコードやカセットテープが完全に絶滅したかと
言えば、生き残ったどころか今やレトロブームで注目
されています。メール全盛期とは言え、手書きの良さも
再評価されています。要は、「絶対に無くなる」と思われているものも、
完全消滅にはならないのではないか。
そのように私は感じています。
もちろん、だからと言って現状に胡坐をかいて良いわけでは
ないのですが。

昨日の日経夕刊に、興味深い文章がありました。
プロトレイルランナー、鏑木毅さんの連載です。

鏑木さんは公務員を辞めてプロになった直後、
ケガに見舞われてしまいます。賞金を稼がねばならない、
でも体調は絶不調という中、何とか「走り続ける」方法を
探し求め、転院もしたそうです。それでも今一つ
回復に向かわなかったとのこと。

そしてようやく出会った医師のおかげで、鏑木さんは
心身の調子も取り戻したのだとありました。


「その医師に月数回、笑顔で常に前向きなメッセージで
励ましてもらうと、気が晴れずに絶望していても
『きっと治るはずだ』と思えた。」

このように記しています。

AIやロボットでも、もちろんそうしたプログラミングをすれば
「笑顔で前向きなメッセージ」を発することはできるでしょう。
けれども私からすると、何か違うのですよね。
やはり生身の人間にしかできないことがあると思うのです。

生身の人間としてどう仕事に向き合うべきか、ひいては
どのような生き方をすべきか。

考える日々が続きます。

(「今日も走ろう」鏑木毅 日本経済新聞2020年3月18日水曜日夕刊)
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