SSブログ

涙が出そうになるとき [日々の暮らし]

この仕事を始めてから涙もろくなったと感じています。
私だけかしらと思ったのですが、先日読んだ松本道弘先生の
最新刊「アメリカ大使館 神といわれた同時通訳者」
(さくら舎、2020年)にも、先生ご自身が涙もろいことを
書いておられたので、とりたてて珍しいことではないのかも
知れません。

特に私の場合、放送通訳現場で記者のレポートに感動してしまい、
涙声になりそうなことがあります。ただ、そこは
「仕事」として携わっていますので、私情は入れず、
声にもそれが表れないようにしています。プロとして
仕事を与えられている以上、そのあたりは徹底せねばなりません。

特に感動的なレポートが多いのは、CBS Evening Newsです。
30分のニュース番組なのですが、最後の話題はたいてい
そうしたレポートが来ます。難病を克服して社会貢献している人、
まだ小さいのに地域社会のために一生懸命
お手伝いをする児童、あるいは戦地で大けがをして
帰還し、リハビリに懸命に励む兵士の話題などなどです。
こうした内容に私は大きく心を揺さぶられます。

涙が出そうになるときというのは、通訳現場だけではありません。
通訳業務の後、ほんのささやかな光景に大いに感動して
目頭が熱くなることがあります。同時通訳という緊張状態から解放される
ゆえんかもしれません。

たとえば先日のこと。いつものように早朝シフトを終えて
駅へ向かっていました。ちょうど駐車場の入り口に
差し掛かったときです。業務用車両が多く出入りするその
駐車場には、いつも複数の警備員さんが誘導しています。
その警備員さんたち誰もが非常にキビキビと動いているのです。
しかも声がけも秀逸。歩行者にわかりやすいのですね。
まさにコミュニケーションの王道という気がします。

そこからは仕事に対する誇りと責任感がにじみでています。
声がけをされた歩行者が無表情かつ無反応であったとしても、です。

私はそうした警備員さんの仕事姿を拝見するのが大好きで、
つい反応してしまいます。お礼をちょっと口にするだけではあるのですが、
心の中では素晴らしき職業倫理のようなものを感じて
大いに感激します。そしてウルウルしてしまうのですね。

朝の同時通訳の後の一コマなのですが、この駐車場前を
通るたびに、仕事とはどうあるべきか、考えさせられています。
コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。