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Be your own master [日々の暮らし]

私の読書は極めて流動的です。ある本を読んでいて
何か面白そうなキーワードに遭遇すると、
そのトピックに関する本を探します。このようにして
芋づる式に読んでいきますので、関心事は
まるでアメーバのごとく広がってしまいます。
後になって「はて、何がきっかけだったっけ?」と
思い起こそうとしても思い出せないことなどしょっちゅうです。

先日読んだ本はイギリスのスポーツマンシップに関する
一冊でした。別の書籍で明治時代に来日した外国人の話題があり、
その中にフレデリック・ストレンジというイギリス人が
日本のスポーツ界に大きな影響を及ぼしたと
出ていたのです。Frederick Strangeという人名を頼りに
大学図書館の検索機で調べたところ、阿部生雄著
「近代スポーツマンシップの誕生と成長」
(筑波大学出版会、2009年)という本にありつきました。

巻末索引でストレンジを引くと、かなりの頁を
割いていました。それによると、ストレンジは1853年
ロンドン生まれ。University College Schoolを
卒業後、ケント州のThanet Collegiate Schoolを経て
準学士をオックスフォード大学地方施行試験部から与えられ、
来日しています。1875年のことでした。その後、
東京英語学校の教員となり、
学生たちに英国式スポーツを教えたようです。

当時、ストレンジの影響を受けたのが武田千代三郎でした。
武田は1882年に東京大学予備門に入学し、ストレンジと
出会います。武田は陸上や漕艇で活躍した選手であり、
後に恩師ストレンジについても書き残したそうです。
日本に「駅伝」を普及させたのも武田でした。

阿部氏の本には武田がストレンジから教わったとされる
次の文章が出ています:

“Be your own master;
be your own champion.
Do what is right;
do what is just.
‘Do' above all, what is noble."

日本語でも「正々堂々」という言葉がありますが、
それと合わせてnobleという単語があるところが
実にイギリス的だと感じました。

ちなみにインターネットで調べたところ、ストレンジは
心臓発作によりわずか35歳で亡くなり、青山霊園に埋葬されて
います。また、東大構内にも記念碑が設置されています。
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