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小泉信三「読書論」より(その1) [日々の暮らし]

「読書論」(小泉信三著、岩波新書、1950年)を読みました。
経済学者・小泉信三は福澤諭吉の薫陶を受け、
後に45歳で慶応義塾塾長に就任しています。
最近の新書はあっという間に絶版になってしまうのですが、
本書は名著と言われるだけあり、今でも版を重ねています。

私にとって印象的だった箇所は沢山ありました。
たとえば、日頃の忙しさにかまけてしまうと、
読書を出来ぬまま一生を終えてしまうというのは
まさにその通りです。「ツイ手近かの雑誌や新聞に
漫然目を走らせることが多く、読書らしい読書ができないで
終わることになるであろう」(p8)とあります。

「いやしくも読書を志すものは、読書の用意と計画を
持たなければならぬ。そうしてその計画の中に、
つとめて多くの古典を入れよ、と私は言うのである。」(p8)

これは神谷美恵子先生の言う「古典を読みなさい」に
通じます。

もう一つ、小泉氏の文章から:

「つとめて古典を読むことと共に、私はつとめて
大著を読むことを勧めたい。(中略)それを
読むことによって、吾々は単にその書の内容を
知るばかりでなく、辛苦耐忍、いわば格闘して
ものを学ぶという、貴重な体験を得るのである。」(p16)

実業家・執行草舟氏も、若いころにトインビーの
「歴史の研究」という大著を読み、それが自らの人生に
大きな影響を与えたと書物で記しています。

「本を読んで物を考えた人と、全く読書しないものとは、
明らかに顔がちがう。(中略)偉大なる作家思想の大著を
潜心熟読することは、人を別人たらしめる。それが人の顔にも
現れることは当然であろう。」(p18)

このようにも述べています。人格を作るということなのでしょうね。
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