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脳の動き [日々の暮らし]


日経新聞に連載されている精神科医の大野裕先生の
コラムが好きで、欠かさず読んでいます。先日の
文章には対面授業の話が出ていました。
先生いわく、感染症対策をした上でなるべく
対面授業を実施することは、大学生のこころの健康を
守る上でも大切とあります。私も同感です。

大野先生によれば、信頼できる人との人間的なふれあいが
人の心にとっては大事なのだそうです。
とある実験によると、人間の脳というのは悩みのさなかに
おいて非常に活発に動いているのだそうです。
でも、だからと言って良い解決策に到達できるかと
いうと、むしろその逆もあります。「あれこれ
良くない考えが頭を駆け巡っている」のだと。

けれどもそのようなとき、信頼できる人に手を
優しく握ってもらうと、「活発すぎる脳の動きが
静かになる」のだそうです。つまり、人間は
悩めば悩むほど、どんどん苦しくなるわけですが、
そうした脳の暴走を食い止めることが手を握られることで
できるというのですね。

確かに小さい子どもなど、泣いている時にハグして
あげると、それだけで落ち着くことがあります。
大人も辛い時に背中をさすってもらったり、
肩に手を載せてもらったりするだけでホッと
したりします。頭をなでてあげるのも同様でしょう。

目の前の相手が大変な状況にあるとき、ロジックで
解決策を述べても前進できないことがあります。
それよりも、何も言わなくても良いから
寄り添って手を握ってあげる方が、本人も
一筋の光を見出せるように思います。

(「こころの健康学」日本経済新聞2021年5月11日火曜日朝刊)

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