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ブラブラ歩きも役に立つ [仕事]

放送通訳の現場では、実に多様なトピックが飛び込んできます。
政治、経済、災害、事故、戦争、科学に医学、
芸術、セレブなどなど、本当に沢山あります。
もともと知っている話題であれば落ち着いて通訳できるのですが、
「人生で初めて聞いた!」などとなると、非常に緊張します。

会議通訳もなかなかチャレンジングですが、
事前にトピックについて知らされ、かつ、資料も
頂けていれば予習の方向性もわかります。
一方、ニュースであれば当日になるまで何が飛び出すか
想像できないのです。「今日はたぶんこの話題かな?」と
あたりをつけて自宅を出発したところで、
突発事件が発生すればすぐにbreaking newsに切り替わります。

ところで先日私はCNNでAmanpourという番組通訳を担当しました。
その中でフランスの映像制作者のインタビューが出てきました。
クルド兵士たちのドキュメンタリーを作った方でした。

フランス人の英語ですので、いつも以上に私は緊張しました。
なぜなら日ごろはアメリカやイギリス・豪州英語に慣れているため、
フランス人が話す英語をあまり耳にしたことがなかったからです。
発音の特徴を意識しつつ、「多分あの英単語のはず」と想像し、
神経を研ぎ澄ませて聞きながら訳していきました。

インタビュ―内容は多岐にわたり、やがて「戦争論」へと
シフトしていきました。そこで出てきたのがClausewitzです。
「戦争論」の著書で有名なKarl Von Clausewitzのことです。
日本語では「クラウゼヴィッツ」と言います。

私はクラウゼヴィッツの著書は読んだことがありません。
けれども書店で本の名前と著者名だけは目に留まったことが
あります。戦争を語る上で「戦争論」は古典とも言えます。
そうした「表面的ではあるけれど、知ってて良かった!」ということが、
放送通訳現場では大いに役立つのです。

そう考えると、「たまたま時間があったので立ち寄った書店での
ブラブラ歩き」が、いつの日か助けになるというのが
この仕事なのですね。

そうした瞬間に通訳中に出会えると、とてもうれしくなります。
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NHK「世界へ発信!ニュースで英語術」掲載のお知らせ [掲載]

2020年1月23日放送分の翻訳・解説を担当いたしました。
タイトルは「台湾総統選 蔡英文総統が再選」です。

https://www.nhk.or.jp/snsenglish/news/n200123.html

どうぞよろしくお願いいたします。

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fff [日々の暮らし]

先日のこと。新橋駅から放送通訳のスタジオへ向かう際、
あえて歩いて行きました。一日一万歩のノルマ達成のためです。
徒歩であれば30分ほどで到着します。

時間帯はちょうどお昼。周囲のオフィスビルからは
沢山の人たちが外へ出てきており、ランチに向かうその
表情はどれもホッと一息という感じが表れていました。

とあるお店の前を通りがかった際、思わず
内心「おお~~!」と言ってしまいました。
と言いますのも、店舗入り口のところで行列が
出来ていたのですが、その光景が私にはとあるものに
見えてしまったからです。

並んでいたのはいずれも男性のビジネスパーソン。
偶然にも皆、黒いコートやダウンを着ています。
上から下まで黒でした。
いずれも手元のスマートフォンを見つめています。

その様子が、私にはなぜかアルファベット大文字の
「F」に見えたのです。Fの上の横線が頭、
真ん中の短い横線が手でスマートフォンを持つ部分です。

並んでいたのは3人ほどで、私にはどう見ても
「FFF」に見えてしまったのですね。

「FFF」を小文字で書くと「fff」です。
これは音楽用語であればfortississimo(フォルティッシッシモ)。
音量で最大限に強い様子を表します。イタリア語です。

forteはイタリア語でstrongやloudという意味。
その一段階上の「フォルティッシモ」はfortissimoです。
そしてさらに強いのがfortississimoとなります。
fortissimoに最上級接尾辞の-iss-を付けた形です。

ということで締めくくりは「フォルティッシモ(ff)」で
始まるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の映像を。
1986年のライブ。BBCウェールズ交響楽団、ピアノはMisha Dichter、
指揮はヤンソンスです。まだ心臓発作に見舞われる前の若かりし頃。
実にエネルギッシュで美しい指揮です。

https://www.youtube.com/watch?v=vE6mlM4R-PI

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Swing Out Sister [日々の暮らし]

先日のこと。原稿を書きながらふと思い立ちました。
両親の転勤先・ロンドンから帰国した直後の記憶についてです。
テレビでとある音楽が流れており、それが当時の
私のお気に入りでした。

「あれ、あの曲何だったっけ?確かこのブログに
随分前に書いたんだけどなあ。タイトル忘れちゃった・・・」

と気になり始めるや、原稿執筆は中断。探したところ
ありました!すでに2017年12月の記事。2年も経っていたとは!

https://sanaeshibahara.blog.ss-blog.jp/2017-12-10

ということで、その音楽とは深町純さんの"On the Move"でした。
ああ、懐かしい。

そこから派生して当時のミュージシャンたち、それこそ
CasiopeaやT-SquareなどのMVに手が伸び、「原稿書きつつ」
ガンガン聞きまくりました。

特に発見だったのは、T-Squareの曲です。「メロディは知っていたものの
曲名を今の今まで知らずじまいだったもの」があり、
ようやく曲名が判明したことでした。コチラ:

https://www.youtube.com/watch?v=FZaUPGjjA4c

"Truth"という曲です。You Tubeで検索すると色々な
バージョンが出てきます。どれも秀逸であり、これまた懐かしい!

さらに「ひょっとしてT-Squareってまだ現役でライブ有り?」と
探してみたところ、その通りでした。南青山のBlue Note TOKYOで
4月にライブがあるそうです。きっとコアなファンも多いことでしょう。
チケット争奪戦になるかも。

・・・とそこをきっかけに
あちこちのライブ情報を眺めていたところ、
80年代に大好きだったデュオ、Swing Out Sisterが
来日することを発見!こちらも「ええ?まだ現役???」と
嬉しい驚きでした。

"Breakout"や"Fooled by a smile"など大好きなのですが、
何と言ってもお気に入りは"Waiting Game"です。
ビデオがとにかくおしゃれ。ボーカルのコリーンは
ロンドンのSt Martin芸術学校でファッションデザインを学んで
いたのですよね。

https://www.youtube.com/watch?v=bu3yrQ77E1Y&list=PLD9W9zgHPXDS40u0tDjgI4Ze0J7dzgMA2&index=9

"Waiting Game"のリリースは1989年。30年後の今見ても
とにかくステキなビデオと曲です。

・・・ハイ、関内ホールのチケットは速攻で購入。
ワクワク上機嫌で原稿も仕上げました!春が楽しみです。
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「通訳者のひよこたちへ」更新のお知らせ [掲載]

「通訳者のひよこたちへ」第428回がアップされました。
タイトルは『遅すぎることはない』、書籍紹介では「世界で一番美しい劇場」
(エクスナレッジ、2015年)を取り上げました。

https://www.hicareer.jp/inter/hiyoko/16940.html

お時間がございましたらご一読いただければ幸いです。

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おおばひろし先生 [日々の暮らし]

我が家には日めくりカレンダーがあります。
毎朝、起床直後に一枚めくる係は私です。

カレンダーの柄は画家・おおばひろし先生によるもの。
私は子どもの頃からおおば先生の絵が大好きでした。
KLMオランダ航空に入社した当時、日本語機内誌「ウィンドミル」の
表紙を担当されていたのはおおば先生でした。
飛行機が大好きなおおば先生は、作品の中に
沢山KLMを描いてくださっています。

大空の中をまっすぐな飛行機雲と共に飛んで行くKLM。
空港で待機している、あのKLMの美しいブルー。
そうした光景を残してくださっているのです。

2年前の初秋。おおば先生の特別展が開かれると聞き、
日帰りで札幌まで出かけたこともあります。
せっかく北海道まで、しかも紅葉の時期に出かけるわけですので
一泊したかったのですが、仕事のスケジュールで叶わず。
そこで朝一番の便に乗り、札幌滞在数時間ではありましたが、
念願の個展を見ることができました。
非常に幸せな旅でした。

オランダ航空に勤めていたころ、上司がオランダ会という
同好会を主宰していました。そこに私も
参加させていただいていたのですが、その際に
おおば先生の御子息にお目にかかる機会がありました。

展覧会の会場でおおば先生の見ていた際、そうした
若かりし自分のKLM時代を思い出しました。
懐かしさのあまり、展覧会の芳名帳にその旨を記載して帰京しました。

すると後日、御子息からお手紙とカレンダーを頂戴したのです。
それが日めくりカレンダーでした。
とても感激しました。

私は芸術にさほど詳しいわけではありませんが、
おおば先生にせよ、指揮者のヤンソンスにせよ、
芸術にはその方の「お人柄」がにじみ出ると思います。
穏やかさ、優しさ。そうした部分に私は強烈に惹かれます。

おおば先生が亡くなられてからすでに30年以上が経っています。
今なお私の心に温かい気持ちをもたらしてくださる
おおばひろし先生の作品です。
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歩数計 [日々の暮らし]

一日1万歩は達成しようと思い立ってからずいぶん経ちました。
歩数計をつけてせっせと歩くようにしています。

しかし一時期、関節を痛めた時は着用を断念しました。
「歩数計などつけているから数字にとらわれてしまうのよねえ。
達成しなければ落ち込むだけだし」と思い(開き直り?)、
外してしまったのです。

そしてどうなったか?案の定、体重が増えてしまいました。
私の場合、そうなると体が重く感じられ、気力が
なくなってしまいます。するとネガティブ思考に陥り、
仕事もプライベートも何となくしっくりこなくなるのです。

そのときの関節痛はしぶといものでした。
整形外科からは、それまで続けていたマラソンへのストップが
かかりました。「コンクリートのような硬い表面は
足に良くない。ただし、ジムのフロアリングならOK」との
診断が下りました。ハーフマラソン完走を2度達成し、
さあ、フルマラソンだ、ホノルルだと意気込んでいた時期でしたので、
無念さはありました。

でも、嘆いたところで改善されるわけではありません。
外を走るのがダメならば、今できることに切り替える。
それだけです。

関節痛は長らく続いたのですが、ようやく最近になって
問題なくなりつつあります。よって、歩数計も復活しました。

ただし油断は禁物です。
欲を出して歩きすぎるとてきめんに痛み出します。
私は旅行先でもガンガンガンガン歩く方なので、
様子を見ながらの観光となっています。

ここ数年、関節痛や顎関節症、テニス肘などなど、
あちこちが痛んだり不調になったりということが続きました。
以前の私であれば、ちょっとでも不調になると「こんなに故障だらけに
なるはずがない」と自分の体力を過信していました。

けれども人間の体は機械ではありません。
年月とともに今一つになることもあるでしょう。
当然のことです。

その事実を潔く受け入れたことで、ようやく私自身、気持ちが
軽くなりました。「体調がイマイチなら休めばいい」
という思いで過ごすと、むしろ回復は早いようです。

季節はあと少しで春。

前向きな心を持って、歩んでいきたいと思っています。
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美しい光景 [日々の暮らし]

日常生活において、ささやかであってもなるべく
自分自身が感動をしたいと思いながら生活しています。
季節の移り変わりはもちろん、街ゆく人の表情、
小さな赤ちゃんの様子、ご年配の方々がゆっくりとした
足取りで歩まれる様子など、日々の中に穏やかさを
自分に対してもたらしたいと考えています。

先日、目に留まった光景があります。早朝の放送通訳シフトを
終えた直後のことでした。

私の業務が終わったのは午前8時。
テレビ局を後にすべく正面玄関へ向かっていると、
前からはちょうど出社時間に合わせてたくさんの局員の方々が
入ってくるところでした。

そのとき、私の前に一人の男性がいました。
おそらく夜間シフトを終えて帰宅しようとしていたのでしょう。
突然、「おぉ~~~!」と大きな声を上げます。

見ると、出社してきた男性と笑顔で「ひっさしぶり~~~~!!
どうしてた?元気だった?」と声をかけ合っていたのです。
おそらく仕事仲間か同期なのでしょう。

私はそのまま横を通り過ぎましたが、
二人はしばし私の後ろで話をしていたようです。

たったそれだけの光景でした。でも早朝シフトの同時通訳で
緊張感がまだ解け切れていなかった私にとって、それは
心温まる光景でした。
もしどちらかの男性が数秒遅れていたら、再会は果たされなかった
かもしれないのです。

私はこうした偶然が実は大好きで、自分自身がそうした体験をしても、
あるいは、そういう光景を見るだけでも、大いに感激してしまいます。

これだけ大勢の人々が暮らしている日々の中で、
わずかコンマ数秒でもずれてしまったら、そうした出会いは
ないのです。お互いが健やかに日々を送り、元気でいなければ
再会を果たすことは叶いません。

先の光景を見た私は「こうした感激やありがたさを
覚えられたのも、幸いにして自分がこの仕事をしていて
たまたまあの日、テレビ局に出入りしていて、
あの場に遭遇できたからなのだろうなあ」
という思いで満たされたのでした。
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それでも紙地図 [日々の暮らし]

昨日のブログで、新橋のビジネスホテルに泊まった話を書きました。
新橋は仕事でよく通るため、ある程度の土地勘はあります。
さらにカバンの中には東京都のミニマップも持っています。
スマホも持ち歩いていますので、道路に迷ったとしても、
打開策グッズは一通りあるということになります。

が!

それでも地下鉄駅のラックにある「周辺案内地図」が
私にはどうしても気になるのです。

これはA3ほどの一枚にカラー印刷されたもので、
駅周辺地図、地下鉄の出口案内なども兼ねています。
裏面には東京都の地下鉄の路線図もあります。

実はよーく見て見ると、これは広告チラシでも
あるのですね。と言いますのも、そこには
このチラシを作るにあたってスポンサーになったと
思しき企業が出ているからです。

新橋のマップに出ていたのは、貸し会議室、
ラーメン店、フットケアサロン、宿泊施設および
図書館でした。これらの施設・店舗はマップ上に
大きくハイライトされています。

興味深かったのは、「地図=北が上」であるはずが、
このマップは北が下に描かれていたことでした。
欄外にもその注意書きが出ています。

もう一つ、面白いなあと思ったのは、建物の部分に
影が付けられていたことでした。そう言えば中学校時代、
美術で明朝体を習った際に「影の付け方」を
教わったと記憶しています。まさにそのような感じの
影が建物には描かれているのですね。影はいずれも
右側と下の部分にあります。左上から光が差し込み、
影ができているという感じです。

・・・それにしても地図好きの私など、こうした精巧な地図が
無料でいただけるだけで本当に感謝したくなります。
そして仕事資料そっちのけで地図を読みふけるのでした!
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地元の新聞 [日々の暮らし]

旅先や出張先で必ずしていること。
それは地元の新聞(紙新聞)を買うことです。
今の時代、ネットがあれば新聞は入手せずとも
済む時代なのですが、それでも地元の話題を網羅している
紙新聞に私は惹かれます。

先日、滋賀県米原駅から新幹線で帰京する際に買ったのは
中日新聞です。中日新聞は名古屋がベースですが、
どうやらこのあたり一帯もカバーしているのでしょうね。
トップページは琵琶湖の水質に関する話題でした。
興味深い!

一方、先日都内で請け負った仕事はスケジュールの都合上、
どう頑張っても自宅に帰るのは難しかったため、
自腹で新橋のビジネスホテルに泊まりました。
翌日、早朝の放送通訳シフトに向かう中、
「あ、そう言えば朝刊!」と思い、コンビニへ。

自宅では日経新聞を購読しているので、その日の店内でも
日経にいったんは手が伸びました。

が、せっかくですのでこういう日こそ冒険して
普段読まない新聞をと思ったのですね。

「職場にあるのは日経、朝日、読売だから、
・・・よし、今日は産経新聞を買おう!」

ということで一部購入しました。

いやあ、普段読まない新聞はそもそものレイアウトからして
発見があります。活字のサイズ、カラー使いなど
日経とは異なります。しかも産経はフジテレビ系列ですので、
テレビ欄を見ると、フジテレビのところだけ
別の色でハイライトしています。

日経にはないレシピ記事や読者投書欄など、実に面白かったですね。
フジテレビが提供している春高バレーも
紙面での扱いが大きいものでした。ちなみに野球で言うと、
春のセンバツ高校野球は毎日新聞社(TBS)、
秋の甲子園は朝日新聞(テレビ朝日)が主催しています。

話を新聞に戻しましょう。

読者の中には新聞の論説・主張を「右寄り・左寄り」と
分けるケースもあるようなのですが、私はあまり気にしない方です。
むしろ大事なのは、放送通訳者という仕事柄、
海外ニュースが満遍なく出ていること。
アメリカやヨーロッパだけでなく、アフリカやアジア、
中南米などのニュースもできれば沢山ほしいところです。

ところで産経新聞で気づいたこと。
それは「元号」が他の新聞と比べて多く記載されていたことでした。
日本における出来事は西暦ではなく元号で、
日本人著者のプロフィールも生年を元号で表していました。

元号。実は「通訳者泣かせ」です。昭和は「プラス25」で
西暦が出るのですが、平成になると大変。
令和はまだ始まったばかりですので、換算しやすいのですが、
これも年月を経るとだんだんややこしくなってくるかも
しれません。

ということで、日本人登壇者の皆様、国際会議で
元号に触れる際には、西暦と合わせてお話くださいませ。
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