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アンケートと後出しじゃんけん [日々の暮らし]

イギリスで暮らしていたとき、「ああ、日本とは全く
違うなあ」という経験を何度もしました。
後の人のためにドアをおさえてあげること、
体の不自由な人や重い荷物を抱えている人を見ると
すぐに助けてあげることなどはその一例です。
もちろん日本でもそうした光景はありますが、
イギリスではもっとその頻度が高かったように思うのです。

その一方で、「日本ではありえないなあ」ということも
ずいぶん経験しました。たとえばレジ係がお隣のスタッフさんと
おしゃべりしながらのんびりレジ打ちすることも
珍しくありませんし、クシャクシャのお札をおつりに
出されたこともあります。長蛇の列ができていて
スタッフさんもたくさんいるのに新たなレジが開くことも
ありません。それどころか自分のシフトが終わるや
さっさと窓口を閉めて帰ってしまう駅員さんもいました。

要は国が異なれば文化や習慣も違ってくるのです。
いちいちそれに目くじらを立てていてはこちらの神経が
持ちませんよね。「ところ変われば」と自分が寛容になる必要が
あるのです。

もう一つ、何かで読んだ話なのですが、
異文化コミュニケーションにおいてなるほどと
思わされるエピソードがありました。
その話とは以下の通りです。

とある留学生が海外の大学院で勉強していたときのこと。
授業後に感想を書く機会があったそうです。
その際、自分が疑問に思っていたことや「〇〇して欲しい」
といった具体的要望も綴ったそうです。

ところが、それを読んだ教官は後日その学生に対してこう述べました。

「私の授業では毎回最後に質疑応答時間をたっぷり
設けている。誰が質問しても良い形式をとっているにも
関わらず、君は質問せずいつも黙っている。それでいて
後になってからこのような感想を書くのは
あまりにももったいないし、第一、フェアではない。」

日本では皆の前で質問することがまだまだ憚られる文化が
あるのでしょう。その一方で、私自身も経験があるのですが、
「その場で」「きちんと尋ねる」という選択をしないのは
本人の責任とされました。つまり、質問せずに不満を抱いたと
しても、それは質問をしなかった本人が悪いと
とらえられるのです。

そういえば幼少期にロンドンで過ごしていたときも似たような
経験をしました。私が友人に対して少し時間を置いてから何かを言うと、
"But you didn't tell me at that point, Sanae."と
反論されたのです。

つまり「後出しじゃんけん」をしてはいけない、
何かあるならその場で言うべし、ということなのです。

確かにレクチャー会場などで「誰も質問していない中、
自分が挙手して尋ねるのは勇気がいる」「何となく恥ずかしい」
という気持ちも理解できます。けれども質問や意見というのは、
どれだけ本人には小さく思えても、実はそこに大きなヒントやきっかけが
隠されているのですよね。ですので、私は自分の授業で
「質問することは周囲への社会貢献!」と伝えています。
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