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お隣 [日々の暮らし]

数か月前に出かけた京都。お目当ての一つが明治大正期の政治家・山縣有朋の
別荘である無鄰菴(むりんあん)の訪問でした。平安神宮の鳥居から東に歩いて数分。
周辺には普通の道路があるものの、一歩敷地内に入ると静けさが
広がります。和室に正座して庭園を望むと、東山が借景として目に入り、
心和むひと時を過ごせる素晴らしい場所です。

訪問時に注目したのは「無鄰菴」という名前でした。

山縣は存命中、いくつかの別荘を建てたそうです。
最初の別荘は出身地・山口県につくったもので、これに無鄰菴(第一無鄰菴)と
名付けています。由来は「隣家の無い静かな場所にあったから」だそう
ですが、一説によると、「論語」の次の一節からとったとも言われています:

「徳不孤必有鄰(徳は孤ならず、必ず隣あり)」

この文言を調べたところ、以下のような意味でした:

「徳のある人はけっして孤立しない。必ず理解し協力する人が出てくるものである」

ちなみに私が子ども時代に暮らした横浜には「有隣堂」という書店が
本拠を構えていました。これも同じ論語から社名が付けられたそうです。
「隣」と「鄰」は同じ意味です。
なお、有隣堂の情報誌名は「有鄰」で、無鄰菴の「鄰」と同じ。
この情報誌は1967年から発行されており、とても充実しています。
神奈川に関するエッセイや記事が豊富です。

さて、「隣」という字。漢和辞典によれば、たがいに接し合っている家屋や
土地などを差しますが、第2の語義として「親しいなかま」という意味も
あるのだそうです。左側のこざとへんは「邑(むら)」、右側の「粦(りん)」は
「鬼火」という意味。ちなみに化学元素の「燐(りん)(phosphorus)」も
同じ語源。一方、びっくりしたのは、「隣」の古字が「厸」という字であること。
どう見ても私には「むむ」としか読めません。でもこれで「りん」と読みます。

ちなみに「隣町」は英語でneighboring townあるいはadjacent town。
「隣組」はneighborhood associationです。
そう言えば子どもたちが小さかったころ、「バスごっこ」という歌を
よく歌っていました。

「大型バスに のってます
キップをじゅんに わたしてね
おとなりへ(ハイ) おとなりへ(はい)
おとなりへ(ハイ) おとなりへ(はい)
おわりのひとは ポケットに!」

という歌詞。調べたところ、作詞は香山美子(こうやまよしこ)さん。
絵本「どうぞのいす」の作者です。一方、作曲家は湯山昭さん。
私が子どもの頃のNHK天気予報の音楽の作曲家さんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=Cjn92Ps6EqQ

懐かしい~。

そして今日も「隣」の字から天気予報まで飛びました!
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