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誰のための仕事? [仕事]


通訳者デビューした当時、一番気になっていたのは
何だったのか?それはお客様からの評価でもなく、
自分の出来・不出来でもなく、とある要素でした。

具体的には、

「同僚・先輩からの評価」

だったのです。

通訳の仕事ではたいていペアやグループで協力し合いながら
訳していきます。自分一人の時ならば、比較の対象が
ありませんので、「とにかくお客様にご満足いただける
訳出をしよう」と割り切れます。

けれども、同僚や先輩というのは、同じ仕事をしている
わけですので、私の訳のレベルを真横で知ることに
なります。「え?こんなにヘタなの?」と思われることが
とても怖かったのですね。

仕事の依頼を受け、準備期間がたっぷりあるにも
関わらず、思うように勉強が進まなかったときほど、
同僚・先輩の目がとても気になります。
そして当日の現場で、自分よりも遥かに遥かにすばらしい
訳出をする方とご一緒すると、あまりの自分の実力の無さと
勉強不足に激しく自己嫌悪になってしまうのです。

デビューから随分年月が経ちましたが、私の場合、
本番前に非常に緊張することに今なお変わりはありません。
気心知れた通訳仲間であれば、リラックスできるのですが、
初めてご一緒するパートナーの場合、交代のタイミングや
メモ取りサポートのことなど、初めて尽くしとなります。
よって、気を遣うことになるのですよね。

でも、改めて思うのです。

自分が現場に派遣されるのは、他でもないお客様のためなのだ、と。

私のアウトプットがうまいとか下手とかをメインに
考えてしまうと、これはお客様へのサービスでは
なくなります。単なる自己満足になってしまうのです。

「これだけ拾えたぞ。どや!」

というマインドが少しでも出てきてしまったら、
これは「私のため」の通訳になります。

だからこそ、どれだけこの仕事を続けてきたのであれ、

「完璧でなくても構わない。ただ、常にお客様のことを
考えて訳していこう」

このように言い聞かせています。
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