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オオカミ少年 [日々の暮らし]


数年前にオランダを一人旅した際、感心したことが
あります。それはピクトグラムの多さでした。
ピクトグラムはオリンピックでも有名になりましたよね。
文字ではなく、絵でメッセージを伝える手法です。
日本でも非常口やお手洗いのサインなど、街中には
色々と掲示されています。私は以前「ピクトさんの本」という
一冊を読んで以来、ピクトに魅了され、現在に至っています。

オランダは街中を歩いていても彫刻がたくさんあり、
ビルのデザインも斬新です。国全体がミュージアムのような
印象があります。移民も多いため、ピクトグラムや
インフォグラフィックスが共通言語になっているのでしょう。
私は幼少期にオランダに住んでいたものの、オランダ語は
まったくわかりません。英語同様、インドヨーロッパ語族なの
ですが、英語とフランス語・ドイツ語の方が共通単語が
多いというのが個人的な印象です。

ですので、ことばが分からない私にとり、図解表示は
旅行者として大いに助かったのでした。

翻って日本の街中は文章がとても多い気がします。
私が子どもの頃は「危険 入るな」「手を洗うこと」
という具合に、命令口調や体言止めのような看板が
たくさんありました。しかし最近は「きれいに使ってくださって
ありがとうございます」「脇見チューイ」(ネズミのイラスト付き)など
文章が丁寧・長文と化したり、ゆるキャラに「言いづらいこと」を
言ってもらって注意喚起したりするスタイルが見受けられます。

電車内やホームを見渡してみても「ひらくドアにごちゅういください」
「ホームドアに手を引き込まれないようご注意ください」など、
オールひらがなや文字数多数の文章だらけです。
英語版も"Please do not ..."と長い!
日ごろ「ことば」を仕事にしている私にとって、視覚から
入って来る情報量の多さは、ややもするとめまいがしそうです。

スポーツクラブやお店も同様で、あちこちに注意書きが貼られて
います。全部読もうとしたら時間がいくらあっても足りない。
だから多くの人にとってこうした注意喚起メッセージは
「風景の一部」と化し、響かなくなってしまうと思うのです。

こうした状況を私は「オオカミ少年効果」と勝手に名付けています。
童話に「オオカミ少年」がありますよね。あのお話同様、
何度も言っていると、聞かされる方は次第にマヒしてしまい、
真に受けなくなってしまうのです。

緊急事態宣言が出て以来、連日近所からは防災無線で
コロナ関連のメッセージが流れてきます。でもこれも
オオカミ少年のごとく、真剣に聞かなくなっている自分がいます。

本気でコロナ克服を願うなら、
真剣に車内や施設・店舗でのマナーを望むのなら、

注意喚起メッセージの文面や分量、掲示の頻度を
見直すべき時期に今、差し掛かっていると私は考えています。
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