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「3つの『密』」? [日々の暮らし]

イギリスに数年暮らしていたため、どうしてもイギリス・ネタに
なったり、イギリスが良いという論調になったりすることを
あらかじめご了承ください。今日もそのようなトピックです。

今回の新型コロナウイルス。勢いが収まる気配はありません。
感染者の数は世界的に増えています。ワクチンも薬も
無い分、人々の不安も高まっていることでしょう。

こうした中、東京などでは昨日と本日、外出自粛に関する呼びかけが
なされました。NHKニュースによれば、東京都は
「不要不急の外出を控えるように呼びかけた」とあります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200328/k10012354941000.html

一方、埼玉県庁のHPには「不要不急の外出を自粛してください」
とあります。

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0401/covid19/message20200326.html

ことばを生業としている私にとって気になるのは、

「不要不急」

「自粛」

この2語の定義です。

本気で拡大を防ぎたいのであれば、人の命を守りたいのであれば、
強い文言を使うことも致し方ない、というのが私の個人的見解です。
これについては、東日本大震災における注意喚起の伝え方について
2018年8月20日の日経新聞に寄稿しました:

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34142600U8A810C1SHE000/

人命最優先というのであれば、法的縛りがあるのを承知の上で
リーダーは決断をしてそれをわかりやすく、時には強いことばを
使ってでも、住民に伝えるべきだと私は考えます。

一方、イギリスのNHS(国民皆保険サービス)のウェブサイトは
非常にインパクトがありました。

https://www.nhs.uk/

3月28日土曜日にアクセスした時点のトップページは、
一番上の目立つところに黄色いバナーと黒文字で

Coronavirus: do not leave your home

と太字で書かれています。その一行下には通常の文字で

Everyone must stay at home to help stop the spread of coronavirus.

と出ています。

do not leaveおよびmustというのは非常に強いことばです。
しかも極めてシンプルな文章です。英語が分からない人でも
これぐらいなら把握できそうな単純明快な表現です。

これは私の予想ですが、イギリスにおいてさらに状況が
悪化した場合、この文字はすべて大文字となり、
黄色い部分も真っ赤になるのではと思います。

一方、日英のスローガンの比較もしてみました。

日本では「3つの『密』を避けて」と言われていますが、
この3つを私は一度聞いただけでは覚えきれませんでした
(単に私の記憶力が悪いのかもしれませんが)。

3つの「密」は「密閉空間」「密集場所」「密接場面」です。

これはこれでインパクトはあるでしょう。けれども
なぞかけ問答ではないのですから、最初から
「密閉・密集・密接」と言われた方が覚えやすいと感じます。

子ども向けの防犯スローガンで「いかのおすし」があります。
「知らない人について『行か』ない・知らない人の車に『乗』らない・
『大』声でさけぶ・『す』ぐに逃げる・『知』らせる」です。
これもインパクトとしては良いと思うのですが、緊急事態に
陥った幼児・児童がこのスローガンを思い出して行動できるとは
思えません。折句づくりはもっと風流なケースで行えばよいと
思うのです。

イギリスのコロナウイルス防止のスローガンはいたってシンプルです:

CATCH IT
BIN IT
KILL IT

https://www.england.nhs.uk/south/wp-content/uploads/sites/6/2017/09/catch-bin-kill.pdf

全て大文字、下に簡単な説明、子どもでもわかるイラスト。

以上です。

人命第一に考えるのであれば、「伝えたいこと」を
「伝わるように」伝えることが大切です。

コミュニケーションの仕事をしていると、どうしても
このようなことが気になってしまいます。
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