信頼できる人の存在 [日々の暮らし]
日経新聞の月曜朝刊には、認知行動療法の専門家であられる
大野裕先生が寄稿なさっています。「こころの健康学」という
題名のコラムです。2018年10月29日付のタイトルは
「やりがいや夢が支えに」でした。
その中で大野先生は、ご自身の師匠について述べておられました。
師匠は、アメリカで認知行動療法を始められたアーロン・ベック先生です。
ベック先生は、今でこそ同療法の創始者として著名ですが、
不遇の時代もあったのだそうです。その時に先生を
励ましたのが、当時中学生だった娘さんでした。
その娘さん、ジュディス・ベック博士も、今では
父親であるベック先生の活動を支えるようになっています。
大野先生のコラムの中で、私は次の文章に感銘を受けました:
「夢や希望を持ち続け、実現に向けて進んでいくときに、
こうした信頼できる人の存在は大きな力になる。」
私はこの文章を読んだとき、「人間には夢や希望が必要である。
そして、その実現を視野に入れながら進んでいる時、
その人を助けてくれるのは、やはり信頼できる人の存在である」と
改めて感じたのです。
たとえばもし自分が何か強烈な夢や使命感を抱いていたとします。
その時、そのことを応援し、支え、見守ってくれる人が
身近にいれば、とても心強いですよね。何かあっても、
その人が見捨てずにそばにいてくれると思えるだけで、
力が湧いてきます。
その一方で、たとえ自分の中で崇高な目標や課題を実現したいと
思っていても、身近な人に取り合ってもらえなかったり、
軽くあしらわれたりしてしまうと、くじけそうになります。
指揮者の小澤征爾さんは、かつてピアニストの江戸京子さんと結婚
されていました。しかし4年間だけだったそうです。
その理由として、二人とも音楽家として強い個性を
持っていたことが挙げられています。
以前読んだ雑誌のインタビューで小澤さんは、
再婚相手である現夫人について、
「自分と同業の音楽家ではなく、モデルという
まったく分野の異なる相手だったので良かった」
という趣旨のことを述べておられました。
同業者同士、お互いに夢や希望を抱き、
それが同じ方向性を向いてマッチングしていれば、
お互いに高め合うことができます。
しかし、もし片方が相手に対して張り合おうと思ったり、
あるいは卑屈になってしまったりすると、
そこでバランスは崩れてしまいます。
大野先生の述べる「信頼できる人」であるべき存在が、
一番のライバルになってしまいかねないのです。
そう考えると、夢に向かって進む際、誰を信頼するのかを
考えることも、人間が向上する上では必要なのかもしれません。
(「こころの健康学」日本経済新聞2018年10月29日月曜日朝刊)
大野裕先生が寄稿なさっています。「こころの健康学」という
題名のコラムです。2018年10月29日付のタイトルは
「やりがいや夢が支えに」でした。
その中で大野先生は、ご自身の師匠について述べておられました。
師匠は、アメリカで認知行動療法を始められたアーロン・ベック先生です。
ベック先生は、今でこそ同療法の創始者として著名ですが、
不遇の時代もあったのだそうです。その時に先生を
励ましたのが、当時中学生だった娘さんでした。
その娘さん、ジュディス・ベック博士も、今では
父親であるベック先生の活動を支えるようになっています。
大野先生のコラムの中で、私は次の文章に感銘を受けました:
「夢や希望を持ち続け、実現に向けて進んでいくときに、
こうした信頼できる人の存在は大きな力になる。」
私はこの文章を読んだとき、「人間には夢や希望が必要である。
そして、その実現を視野に入れながら進んでいる時、
その人を助けてくれるのは、やはり信頼できる人の存在である」と
改めて感じたのです。
たとえばもし自分が何か強烈な夢や使命感を抱いていたとします。
その時、そのことを応援し、支え、見守ってくれる人が
身近にいれば、とても心強いですよね。何かあっても、
その人が見捨てずにそばにいてくれると思えるだけで、
力が湧いてきます。
その一方で、たとえ自分の中で崇高な目標や課題を実現したいと
思っていても、身近な人に取り合ってもらえなかったり、
軽くあしらわれたりしてしまうと、くじけそうになります。
指揮者の小澤征爾さんは、かつてピアニストの江戸京子さんと結婚
されていました。しかし4年間だけだったそうです。
その理由として、二人とも音楽家として強い個性を
持っていたことが挙げられています。
以前読んだ雑誌のインタビューで小澤さんは、
再婚相手である現夫人について、
「自分と同業の音楽家ではなく、モデルという
まったく分野の異なる相手だったので良かった」
という趣旨のことを述べておられました。
同業者同士、お互いに夢や希望を抱き、
それが同じ方向性を向いてマッチングしていれば、
お互いに高め合うことができます。
しかし、もし片方が相手に対して張り合おうと思ったり、
あるいは卑屈になってしまったりすると、
そこでバランスは崩れてしまいます。
大野先生の述べる「信頼できる人」であるべき存在が、
一番のライバルになってしまいかねないのです。
そう考えると、夢に向かって進む際、誰を信頼するのかを
考えることも、人間が向上する上では必要なのかもしれません。
(「こころの健康学」日本経済新聞2018年10月29日月曜日朝刊)
2018-11-01 00:00
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