模索してゆく、ということ [日々の暮らし]
先日、「総理の器量」という本を読みました。読売新聞特別編集委員の
橋本五郎氏が2012年に中公新書ラクレから出された一冊です。
本書には9人の歴代総理が描かれています。中曽根元首相から
小泉元首相に至るまで、それぞれの首相ならではのエピソードが
満載です。
総理大臣というと雲の上のような印象があります。けれども
やはり私たち同様「人の子」であるのですよね。様々なことで
迷い、悩み、決断し、批判をも受け止めながら国を率いていくということ。
そのためには並々ならぬタフさが必要です。褒められるどころか、
文句を言われるのが仕事と言えるのかもしれません。
「あーうー」発言で有名な大平正芳氏は、長男・正樹氏を亡くされています。
難病によるものでした。享年26歳。父である大平氏にとって、長男は
息子であると同時に、友でもあったとその墓碑に刻んでいます。
失意の底に突き落とされ、表現しきれない苦悩を大平氏は
残しています:
「正樹は人と人との関係については、神経質なまでに繊細かつ
周到で、またとことんまで親切でもあった。私の健康に対する
配慮は妻以上であった。」
「正樹との永別。それは私が夢にだに考えなかったことである。
しかるに非情にも、それは動かし難い現実となった。
凡夫である私は生きる希望と情熱を失いかけた。
彼はなにものにも代えられない、いわば私にとっては
全部に近い存在であった。」
このようなエピソードを著者・橋本氏は紹介しています。
一方、橋本氏本人もあとがきで自らのことを綴っておられます。
本書を出す数か月前、奥様がくも膜下出血で倒れてしまったのです。
そのとき、医師にこう言われたと綴っています:
「なぜこんなことに、と考えても始まりません。
これからのことを絶望的に考えるのではなく、
少しでも前向きになれる方策を模索してください。
奥様への恩返しを今しなければ、するときがなくなります」
人間の命というのは、それぞれ順番であり、いずれこの舞台から
去っていくものでもあります。ゆえに、どのように生きるべきか。
「模索してゆく」ということを私は本書から非常に考えさせられたのでした。
橋本五郎氏が2012年に中公新書ラクレから出された一冊です。
本書には9人の歴代総理が描かれています。中曽根元首相から
小泉元首相に至るまで、それぞれの首相ならではのエピソードが
満載です。
総理大臣というと雲の上のような印象があります。けれども
やはり私たち同様「人の子」であるのですよね。様々なことで
迷い、悩み、決断し、批判をも受け止めながら国を率いていくということ。
そのためには並々ならぬタフさが必要です。褒められるどころか、
文句を言われるのが仕事と言えるのかもしれません。
「あーうー」発言で有名な大平正芳氏は、長男・正樹氏を亡くされています。
難病によるものでした。享年26歳。父である大平氏にとって、長男は
息子であると同時に、友でもあったとその墓碑に刻んでいます。
失意の底に突き落とされ、表現しきれない苦悩を大平氏は
残しています:
「正樹は人と人との関係については、神経質なまでに繊細かつ
周到で、またとことんまで親切でもあった。私の健康に対する
配慮は妻以上であった。」
「正樹との永別。それは私が夢にだに考えなかったことである。
しかるに非情にも、それは動かし難い現実となった。
凡夫である私は生きる希望と情熱を失いかけた。
彼はなにものにも代えられない、いわば私にとっては
全部に近い存在であった。」
このようなエピソードを著者・橋本氏は紹介しています。
一方、橋本氏本人もあとがきで自らのことを綴っておられます。
本書を出す数か月前、奥様がくも膜下出血で倒れてしまったのです。
そのとき、医師にこう言われたと綴っています:
「なぜこんなことに、と考えても始まりません。
これからのことを絶望的に考えるのではなく、
少しでも前向きになれる方策を模索してください。
奥様への恩返しを今しなければ、するときがなくなります」
人間の命というのは、それぞれ順番であり、いずれこの舞台から
去っていくものでもあります。ゆえに、どのように生きるべきか。
「模索してゆく」ということを私は本書から非常に考えさせられたのでした。
2020-07-07 00:00
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