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「間(ま)」の大切さ [日々の暮らし]

先日読んだ松本道弘先生の本。師匠である西山千先生との
やりとりが記されていました。西山先生が特に大切に
しておられたのは「間(ま)」だそうです。

西山先生の同時通訳を私も弘道館で拝見しましたが、
まさに間の美しさがあったことに衝撃を受けました。
以来、私にとっての理想となっています。

CNNの採用試験で担当者の方に言われたのは、
「多少訳し漏れがあっても良いから、聴き手を意識してほしい」
ということでした。つまり、間をとることで視聴者自身が
きちんと内容を解釈できるようにすることが大事、
という意味です。

間は通訳の世界だけではありません。この間大学図書館で
借りた「京の町家 杉本家」(淡交社、2018年)にも
同様のことが書かれていました。杉本家は
1743年に呉服商として京都の四条烏丸に開業しています。
杉本家住宅は1870年に建設され、現在は国の重要文化財です。

その杉本家九代当主の杉本秀太郎氏は、本書で次のように
記しています:

「生あるものの営み、生活というものを渋滞なく
闊達に続行しようとすれば、われわれが間合に対して
いかほど注意を払っても、払い過ぎることはないだろう。」
(p118)

杉本家住宅には外から入る玄関のさらに内側に「内玄関」が
あります。そこが中庭になっているのですが、この中庭部分を
杉本氏は音楽記号の「フェルマータ」のようだと評しています。
フェルマータとは音符や休符の上に付けて、音や休みを
長くしますよね。つまりこれが「間」ということになります。

通訳だけでなく、こうして建築や日本文化においても
間の大切さが意識されています。
これからの自分の通訳アウトプットでさらに
心がけて行きたいと思います。
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