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誰のための仕事? [仕事]


通訳者デビューした当時、一番気になっていたのは
何だったのか?それはお客様からの評価でもなく、
自分の出来・不出来でもなく、とある要素でした。

具体的には、

「同僚・先輩からの評価」

だったのです。

通訳の仕事ではたいていペアやグループで協力し合いながら
訳していきます。自分一人の時ならば、比較の対象が
ありませんので、「とにかくお客様にご満足いただける
訳出をしよう」と割り切れます。

けれども、同僚や先輩というのは、同じ仕事をしている
わけですので、私の訳のレベルを真横で知ることに
なります。「え?こんなにヘタなの?」と思われることが
とても怖かったのですね。

仕事の依頼を受け、準備期間がたっぷりあるにも
関わらず、思うように勉強が進まなかったときほど、
同僚・先輩の目がとても気になります。
そして当日の現場で、自分よりも遥かに遥かにすばらしい
訳出をする方とご一緒すると、あまりの自分の実力の無さと
勉強不足に激しく自己嫌悪になってしまうのです。

デビューから随分年月が経ちましたが、私の場合、
本番前に非常に緊張することに今なお変わりはありません。
気心知れた通訳仲間であれば、リラックスできるのですが、
初めてご一緒するパートナーの場合、交代のタイミングや
メモ取りサポートのことなど、初めて尽くしとなります。
よって、気を遣うことになるのですよね。

でも、改めて思うのです。

自分が現場に派遣されるのは、他でもないお客様のためなのだ、と。

私のアウトプットがうまいとか下手とかをメインに
考えてしまうと、これはお客様へのサービスでは
なくなります。単なる自己満足になってしまうのです。

「これだけ拾えたぞ。どや!」

というマインドが少しでも出てきてしまったら、
これは「私のため」の通訳になります。

だからこそ、どれだけこの仕事を続けてきたのであれ、

「完璧でなくても構わない。ただ、常にお客様のことを
考えて訳していこう」

このように言い聞かせています。
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外交舞台の通訳官とは [仕事]

朝一番で素晴らしい記事に出会いました。ぜひぜひ!!

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/70501.html

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朝のひとこと [仕事]


先日のこと。朝、洗面台で身支度をしていた際、
ふと次のことばが頭の中に浮かびました:

「今日はどんな良い仕事をしようかな?」

自分に気合を入れていたわけでもなく、何か大きな
仕事を抱えていたわけでもありません。
ただただ、このセンテンスがポッと脳内に表れたのです。

フシギに思いました。と言うのも、普段から私は
計画を立ててそれを着実に実行し、手帳には
チェックボックス(□)を書いて業務完了ごとに
チェック(?)を入れているのです。
きちんとこなすことに喜びを覚え、一日の終わりに
チェックマーク()が付いた手帳を眺めるのが
当たり前だったのですね。

でも、これは予定を「こなす」ことだけが
メインになっているのではないかと、先のフレーズを
思い描いてから改めて感じたのです。

「締め切りを意識しながら原稿を書いてメール納品」

「授業の教材予習をする」

「放送通訳に備えて新聞やネットニュースを確認する」

こうした日常的にやっていた事々の「先」にあるもの、
すなわち「読者、受講生、視聴者」などのことを
私は丁寧に考えておらず、近視眼的に仕事をしてきたのでは
ないかと思ったのです。

もちろん社会人として締め切りを守ったり、
自分の商品価値を損なわないような
準備をしたりということは大切です。
でも、こうした近視眼的なアプローチでは、
「とにかく終えること」だけが最終目標になりかねません。

「良い仕事」の向こう側には必ず「人」がいます。
「機械」のために仕事をしているのではありません。

「相手が喜ぶ仕事をしよう」

そう思った朝でした。
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ハードルの下げ方 [仕事]

この暑さとマスクとで、このところ少しバテ気味です。
家の中ではもちろんエアコンを付けているのですが、
温度をマイルドにしても足もとが冷えます。
よって先日、冬物の引き出しの中からレッグウォーマーを
取り出して、目下愛用中です。

暑さ寒さや気圧など、人の体に影響を及ぼす要素が
色々とありますよね。自分なりに気をつけたり、
休養をとったりしていても、なぜか気分が優れない
というときは誰にでもあると思います。
私の場合、元気なときは何ともないことでも、
身体が疲れているとあっという間に心もヘロヘロ~と
なることが少なくありません。

要は「イレギュラーな事態に弱い体質」ということなのでしょう。

そうした中、家事も一通り済ませ、新聞も
読み終わり、借りてきた本もある程度読了。
目の前にあるのは、と言うと、そう、近日中に
実施されるとある通訳案件です。

なかなか内容もヘビー級ですので、早く準備をと思いつつ、
膨大な資料を机の上に山積みにしたまま、ズルズルと
日にちだけが経っていました。その束を見るたびに
焦りが募ります。早くやらねばと思いつつ、なかなか
着手できない。量に圧倒されてしまい、身動きが取れなかったのです。

けれども、ようやく重い腰を上げてみました。

資料は複数あり、ページ数もまちまちです。
そこで私はそれぞれの資料の発行年月日をチェックし、
新しい順から並べ直しました。新しいものから読めば、
最新情報をインプットできるからです。

一方、資料に総ページ数も書き込みました。
1枚のものもあれば、数十ページの資料もあります。

こうして「日付」「ページ数」が分かったところで、
「ページ数が少なく、かつ、日付が新しいもの」から
読み始めました。これならハードルが一番低いですよね。

ボソボソと音読し、不明単語をルーズリーフに書いて
単語リストを作っていくうちに、少しずつリズムが出てきました。
一つ目の資料を読了すると、「あれだけ敷居が高く思えた
この分野を少しだけかじることができた」という達成感を
抱けます。

このようにして読み進めていくにつれて、単語リストも
さらに充実していきました。こうなればしめたもの。あとは
どんどん読み続けてとにかく配布された資料はすべて
読了するだけです。

ハードルをいかに低くするか。

そこさえクリアできれば、前に進めると感じています。
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「意外と面白かった」 [仕事]


通訳の仕事をしていて何が嬉しいかと言えば、
「業務依頼を受けていなければ知り得なかった世界を知ること」
に尽きます。たとえば以前なら関心のなかったテーマを
必然的に勉強するわけですので(しかも当日に失敗せぬようにと
いうのであればなおさら必死になります)、「調べてみたら興味深い!」
と思えるようになるのですね。ありがたいことだと思います。

そうしたこともあり、指導している大学では、
学生たちになるべく多くのことに関心を抱いてほしいと
思いながらアクティビティを取り入れています。
毎週一冊本を読むというのもその一部なのですが、
先日は「大学図書館の雑誌コーナーからバックナンバーを借りる」
という課題を出しました。ただし条件は「自分なら絶対に
お金を払ってまで買わない一冊」です。つまり、
「興味のない分野の定期刊行物」ということです。

なぜこのような課題にしたかには理由があります。
それは、関心のない分野の「書籍」の場合、活字ばかりで
読む気が失せますが、「雑誌」であればカラー写真や
図解もあるため、斜め読みが可能になるからです。
ページ数も薄いので、それほど負担になりません。

翌週、「みんなどんな雑誌を持ってくるかな?」と
内心ワクワクしながらグループ分けして紹介を
お互いにさせたところ、実に多種多様な雑誌が
お目見えしていました。大学図書館ということもあり、
一般書店ではなかなか売られていない専門雑誌もありました。

グループワーク中の学生たちの声に耳を傾けてみると、
「ページをめくってみたら、意外と面白かった」という
声が多く聞こえました。実はこれが私の「狙い」です。
食わず嫌いのままでいるのではなく、触れてみたら
案外楽しかった、という気持ちが学びには大切だと
思っているのですね。

雑誌の廃刊が相次ぎ、デジタル化へ移行している昨今ですが、
紙媒体の手軽さはやはり捨てがたいと思います。
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朗らかさん [仕事]


通訳の仕事というのは、一人で担当することもあれば、
複数でチームやペアを組んでおこなうこともあります。
英日通訳者の数は業界内でも他言語と比べれば
多い方ですので、「初めまして」というパートナーさんも
少なくありません。10年以上ぶりに再会、というケースも
あるほどです。ある意味、お客様も通訳者も一期一会の
世界です。

共通して言えるのは、みなさんフリーランスでこの
世界を生きておられるので、どの方も本当に
ステキな方ばかりです。気配りがあり、心優しく、
助け合い精神のある方たちから成り立っているのが
この業界です。本当にありがたいことと思います。

業務依頼書を受け取り、ご一緒する通訳者さんのお名前を
目にして、「わぁ、久しぶりの再会。楽しみ!!」
と思うことも多く、現場では「プチ同窓会」のように
なります。中には「いつも笑顔で明るく、話題豊富で
休憩の合間に楽しい話をして下さる方」もおられ、
私はそうした方々を心の中で「朗らかさん」と呼んでいます。

「今日は『朗らかさん』とご一緒なのね。
嬉しいなあ」と思えると、現場への足取りも軽くなります。

なお、私は教育機関で教える仕事もしています。
授業準備は通訳業務同様、始めればどんどん
広がっていくため、多大な時間が必要とされます。
それこそ、授業日前に「準備だけでヘロヘロ~」という日も
少なくありません。

それでも私にとってリモート授業であれ対面授業であれ、
教え子に会えるというのは、心からの喜びになっているのですね。
私は確かに「教える側」なのかもしれませんが、
実は「教室」という空間で、教え子たちから多くの
エネルギーをいただく側でもあるのです。

コロナが続く中、そのエネルギーを得ているからこそ、
ここまで来ることができていると思います。

感謝です。
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わずかな休息 [仕事]


先日のこと。外での仕事を終えて帰宅したのですが、
かなーりくたびれていました。話し続けた後であったこと、
さらに家に帰ればまだまだ山のような仕事(家事ではなく、
収入源の仕事です)があったのですね。

家族がいますので、夕食の支度もせねばなりません。
その時間から逆算すると、私に与えられた時間は
わずか数時間。

さあ、どうする?

体がぐったりしてはいるのですが、頑張れば何とか
仕事に着手できそうです。

でも、「頑張れば何とかなる」という状況は、
裏を返せば「相当頑張らないといけない」
ということでもあるのですよね。

そこで自問自答してみました。

1.果たしてこのまま机に向かって、本当に集中できる?
2.それとも20分だけ仮眠してからにする?

仮眠をすれば20分もの作業時間が奪われることになります。
しかし、集中力と効率を考えれば、ここはいったん
少しだけお昼寝をした方がよさそうです。

そこでこの日、私はタイマーを20分だけセットして
ソファに横になりました。結局、仕事のことも気になっていたので
ぐっすり寝られたわけではなかったのですが、
うとうとできたこと、さらに体を横にしたことにより
随分と疲労回復になりました。

お陰でその後は気分を切り替えて集中できました。
わずかな休息も、大きな収穫へとつながりました。
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ご褒美どうする? [仕事]


「楽しいご褒美イベントを自分用に計画していたら、
大きな業務の依頼があった。」

フリーランスで働いていると、こうしたケースは
結構あります。フルタイムの職員ではないため、
仕事があれば収入がありますが、「仕事無し=無収入」
という単純な図式が成り立ちます。
フリーというとかっこよく聞こえるようですが、
働かなければ失業状態なのです。

面白いもので、仕事にせよ何にせよ、人生、
「重なるときは重なる」のだと思います。
楽しいことしかり、辛いことしかりです。
通訳業務も目が回るような時期が続いたかと思えば、
手帳が空白だらけということもあるのですよね。

「では、せっかくなのでご褒美に○○しよう!」
と思い立ち、旅行や(今はコロナで無理ですが)お出かけ
などのイベントをお一人様コースで考えたりします。
「映画館もコロナ対策をしながらオープンしているし、
美術館も再開したし」という具合に、あれこれ
楽しいプランを立てるのですね。

手帳の空欄を埋めてその日をワクワクと待ち望んでいると、
なぜかそういう時に限って新規案件の依頼メールが。
ありがたい反面、「うーん、ではこのご褒美もお預けか」
となります。ご褒美と両立させて仕事を引き受けると
業務予習時間が大幅に減ることになるのですよね。
それでは納得のいく仕事ができません。

よってそこは潔く気持ちを切り替え、未知の通訳業務と
触れ合う蜜月期間(という名の猛勉強)が始まります。
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世界は広い [仕事]


指導している大学では、とある課題を出しています。
それは、「好きな本を何でもよいので読み、
30秒で日本語スピーチをする」というものです。
当初は「新書」に限定していたのですが、昨年度は
コロナでオンラインになったため、図書館も閉館と
なりました。よって、それを機に新書に限らず、
絵本もマンガもOKにしたのですね。

学生たちにはグループになってもらい、発表をして
ベストスピーカーを選んでもらいます。
そして今度は選ばれた人がクラス全体で発表をします。

毎回色々な本が出てきて、私自身、知らなかった世界に
触れることができています。これまで様々な分野の
通訳に携わってきて、色々と自分では幅広くトピックを
おさえていた「つもり」でしたが、まだまだ
この世の中には私にとっての未知の世界があることに
気付かされます。

授業を通じていつも学生たちからたくさんのエネルギーを
もらっています。

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やればできる、ではなく [仕事]


先日のこと。とにもかくにも複雑怪奇な書類に
目を通す必要がありました。一式を手にしたのは
数週間前だったのですが、活字は小さいわ、
用語は難解だわ、わけがわからないわで
お手上げ状態でした。しかも締め切りのあるもの
です。机の上に置いて毎日「さあ、今日こそ取り組もう」
と思うものの、腰が上がらなかったのですね。

何かをやらねばならないとき、というのは
頭の中ではわかっていても、心が付いていけないことが
あります。自分にとって難しいものであったり、
苦手であったり、とにかくキライという対象であったり
すればなおさらです。

避けて通れればそれに越したことはありません。
自分が不得手なことでも、もし誰かがそれを
得意としており、助けてもらえそうであれば、
その人を頼るという選択肢もあるでしょう。

でも、そうでないときは?

自分でやるしかないのですよね。

私の場合、結局かなーりギリギリまでそのままに
なっていたのですが、もはや期限目前となり、
ようやく着手しました。

もうこうなると、後にはひけません。
他のやるべきことなどなどを頭の中から一掃し、
机の上に広げて、とにかく取り組むしかないのです。

最初のうちは苦戦しました。何しろわかりづらい。
難しい。それに加えて「あー、こんなに時間が
かかるんだったら、もっと早く進めていれば
良かったのに」と自分の放置状態を悔やむ始末。

さりとて、後悔しても時間は巻き戻せませんし、
今、やるしかないのです。

で、どうなったか?

結局数時間かけて何とか完了しました。

最初のうちはとにかく頭の中がハテナマーク状態
であったのですが、不明点を同時進行でネットで
調べているうちに、ようやく先が見えてきました。
つまり、私同様にその書類に戸惑う人が多いのでしょうね。
懇切丁寧に説明しているサイトがあり、本当に
助かりました。

終了した時は、本当にホッとしました。
と同時に思ったこと。それは、

「やればできる」

ではなく、

「やったらできた」

という一言でした。

結果としては同じなのですが、私の中では
「やればできる=自分の努力を要する」という図式で
あるのに対して、「やったらできた=取り組むうちに
完成できた」ということなのですね。

今後もまた何か別件でこうした難問にぶつかることも
あるでしょう。でも、

「やればできる」

と気合に頼るよりも、

「やったらできた」

という状況に持っていきたいと思っています。
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