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「池上彰の世界の見方 中東」より [日々の暮らし]

先日、大学の図書館で興味深い一冊を借りました。
池上彰さんが記した中東に関する本です。
印象的な箇所がたくさんありましたので、
そのいくつかを引用し、私のコメントを記します。

*「『イスラムは怖い』というイメージを持つ人も
多いことでしょう。実は、これが過激派の手口なのです。」(p3)

→池上氏いわく、あえて怖い先入観を植え付けると、
余計イスラム教徒への風当たりが強くなります。
そうするとますます「自分たちは差別されているのだ」という
考えが広まります。それが不満となり、過激な思想を
生み出してしまうのだそうです。

*「アメリカはサウジアラビアから大量の石油を購入し、
サウジアラビアはそのお金でアメリカから最新兵器を
買い入れるという持ちつ持たれつの関係」(p41)

→今のサウジや中東について知る上でのカギとなる部分です。

*「ノルウェーには、ノーベル平和賞を選ぶのは私たちの国だ
という誇りがあります。」(p116)

→よって、イスラエル・パレスチナ問題で仲介役を買って出た
ということになります。オスロ合意もそうですよね。

*「キリスト教は『新約聖書』に対してユダヤ教の『聖書』を
旧約とした。つまり『旧約聖書』はキリスト教の立場からの呼び方
なのです。(中略)『新約』というのは、新しい約束。
つまりイエスが神様からこの世界につかわされたことによって、
神様と人々が新たに結んだ契約、という意味です。」(132)

→意外と知っていなかった聖書の違いです。
「新約=新しい翻訳」ではないのですね。

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いかがでしたか?池上さんの本は非常にわかりやすく、私自身、
知っているようで知らなかったことを新たに学べました。

なお、本書の最後で池上氏は問題提起しています。昨今の
中東から欧州へ向かうイスラム系難民に関してです。
数十年後の教科書にどのような記述があるか想像して
ほしいと池上氏は綴っています。

「キリスト教とイスラム教のまったく違う文化が融合し、
新たなヨーロッパの文明や文化が築かれた」

となるか、あるいは

「21世紀のイスラム教による侵略だと受け止めたキリスト教側の
猛反発が起き戦争が勃発した。」

このことを私たちは考える時に今、差し掛かっているのです。

(「池上彰の世界の見方 中東」池上彰著、小学館、2017年)
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