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事実+ネガティブコメント [日々の暮らし]

私がこれまで読んできた本の著者で今でも尊敬し続けている方が
います。ジャーナリストの千葉敦子さんです。
千葉さんは国内で教育を受けたにも関わらず、
自力で英語力を高め、海外のメディア向けに日本のことを
発信していました。1970年代のことです。
若くして乳がんにかかり、それでもニューヨークへ渡り、
亡くなるまで取材を続けて40代でこの世を去りました。

千葉さんの本の中で印象的だった箇所はたくさんあります。
中でも強烈だったのは、ニューヨークへ来た日本人男性とのやりとりです。
当時はセクハラといった考えが日本に普及しておらず、
依然として男尊女卑の社会でした。女性イコール美人が
もてはやされていたのです。

とある女性の話題になったときのこと。その男性は
「彼女は仕事はできるけれど、器量はよくない」と口にしたそうです。
アメリカの男女同権社会を生きる千葉さんにとって、
このような発言は許すことができませんでした。
しかも、そうしたセリフを他の日本人男性から聞かされることが
何度もあったと言います。「席を蹴って帰るべきだったか?
それとも面と向かって喧嘩をすべきだったか?」と
思うくらい、心の中は怒り心頭でした。

考え抜いた結果、千葉さんはこう切り返すことにしたそうです。

「あなたは器量よくていらっしゃること。」

こうでも言わない限り、当時の日本人男性にはなかなか通じなかったと
千葉さんは綴っています。

時代が進み、今でこそそうした発言は受け入れられないという風潮が
見られるようになりました。けれどもこのエピソードに限らず、
物事に対して「事実+ネガティブコメント」をしてしまうことが
人には多いような気がします。私自身、特にくたびれているときなど
そうなりがちです。

気持ちがついマイナスモードになりかけるたびに、
千葉さんの文章を思い出しています。
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