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そびえる壁を前にしたとき [日々の暮らし]

日経新聞・日曜版の中ほどに掲載されているのが
The Styleというページです。グルメやファッション、
文化などの情報を載せており、抜き取り可能な紙面となっています。

中でも私のお気に入りはインタビューのページ。
18日にはJ・フロントリテイリングのトップ、山本良一氏が
出ていました。

山本氏は学生時代、バスケで活躍されたそうです。しかし
明治大学のバスケ部は当時、主力選手が卒業してしまい、
弱体化するのが目に見えていたとのこと。
そうした中、山本さんは主将に就任したのでした。

OBたちに、山本さん世代ではもはや試合に勝てるわけがないと
厳しい言葉を投げかけられる中、山本氏はむしろ
気持ちを奮い立たせたそうです。そして、練習や
トレーニングメニューなどに工夫を施し、
インカレでは3連敗を達成しました。

山本氏にとって、

「そびえる壁が高ければ高いほど、
闘争心をかき立てられた」

とインタビューを担当した河野祥平記者は綴っています。

「壁」の高さ、というのは人それぞれですよね。
他者にとっては容易に克服できそうなものでも、
自分にはとてつもなく厳しい壁が目の前にあり、
ひるんでしまう、ということが人生にはあると思います。

一方、人生経験を積んできた大人からすれば
答えがわかっていることも、子どもであればなかなか
それが思いつかない、というケースもあるでしょう。

つまり、自分にとって未知の課題というのは、
取り組む上では非常に気が重いですし、
自分の力だけでは克服できないように思えてしまうことも
あるのですよね。

でも自分の人生である以上、そこから逃げることは
残念ながらできません。どれほど素晴らしいアドバイスを
下さる方がいたとしても、その方が私の代わりに
私の人生を生きることはできないのです
(あ、これは英語学習とまったく同じですよね・・・!)。

そうなると、どれほど大変そうな課題であったとしても、

「自分は今、これを人生勉強の新たな『お題』として頂いた」

「逃げずに真正面から取り組めば、必ず自分なりの
最適解は出てくる」

「だから、決して言い訳をせず、自棄にならず、
取り組んでみよう」

と信じて一つ一つを丁寧に取り組めば、きっと
先は見えてくると思います。

通訳者デビューしたずいぶん前、私は未知の分野の
会議通訳を前に途方に暮れたことがありました。

あまりにも難解分野の仕事を請け負ってしまい、
業務の前日にキャンセルの電話をエージェントにかけたほどです。
今のようにメールも携帯電話もありませんでしたので、
エージェントの電話はもちろん誰も出ず。
今にして思うと、本当にしり込みし通しの前夜だったのですが、
「誰もスタッフがいない!ああ、もうこうなったら
やるしかない」と腹をくくれたのです。

そして実際、当日にその通訳をやってみたところ、
緊張はしましたが、自分の想像を絶するような高難易度では
なかったのですね。

そのおかげで、私はその分野の仕事を一つ、経験として
頂くことができたのでした。

人生の課題もこれと同じだと思います。

ひとつ、そしてまたひとつ。

この繰り返しなのですよね。

(日本経済新聞2020年10月18日)
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