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音で思い出すこと [日々の暮らし]

先日、とある企業経営者のインタビューを読み、
早朝ウォーキングをされている旨を知りました。
歩きながら色々と考えておられるそうです。

朝の散歩を楽しむ私も、色々なことに思いを巡らしたり、
授業準備や原稿ネタを考えています。そうした観点から、
空気のひんやりした朝の空気を吸うことは自分自身の一部と感じます。

朝のお散歩ではいくつかのお気に入りの場所があります。
そのうちの近くが、市内を流れる川です。
調べたところ、その川は一級河川でした。
「一級河川」とは国が「河川法」で定めたものです。
英語ではClass A river、「河川法」はthe River Lawと言うそうです。

なぜこの川が好きなのかしらと改めて考えてみたところ、
所々の土手の排水管から流れ落ちる「水の音」にあることが
わかりました。
川にザーザーと落ちていく音が、私に懐かしさをもたらして
くれたのですね。

話は幼少期にさかのぼります。

まだ日本が今のような慌ただしい時代ではなかったころ、
私の家の周りには田んぼや畑、林などの自然がたくさんありました。
幼児の私にとって、たまに到来するお楽しみは
母にくっついて出かけていく「お買い物」でした。

我が家は山の上にありました。
近くの商店街までは、うっそうとした森の中にある山道を下り、
川を渡っていくのです。

その川には木の橋がかかっていました。
車は通れません。横幅は2メートルもなかったと思います。
向こうから人が来ると、お互いに端によって通り抜けるという感じ。
木でできているので、板木の所々に穴が開いています。
上からのぞくと下を流れる急流が見えます。
そのときに聞こえてきた音が、先に述べた「水の音」でした。

橋を渡りきると商店街が始まります。我が家のある所よりも
遥かに開けていて、人も行き交い、活気がありました。
自宅の周りの自然の光景は、それはそれで美しかったのですが、
どこかうら寂しい感じもしていました。その我が家と
商店街を分けていたのがあの川であり、夜になると裸電球が
うっすらと灯るあの山道でした。

あれからずいぶん年月が経ち、近所を流れる川の音を
ただ聞いただけなのですが、忘れていた幼き日々を思い出したのです。

デジタルで何もかも記録できる時代ですが、
ささやかな音や香りで人は一気に記憶の糸をたどることができるのでしょうね。

そのようなことを朝、感じることができて本当に幸せに思います。
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